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「寝ていいと言われたら、いくらでも寝られます」大谷翔平が明かした“12時間睡眠”の秘訣「練習量を減らすのも、ひとつのチャレンジかなと」
text by
石田雄太Yuta Ishida
photograph byNanae Suzuki
posted2024/09/05 17:02
2021年にメジャーで初のMPVを獲得した大谷翔平。エンゼルス時代に活躍の秘訣として“睡眠”のことを語っていた
「あ、でも、ごはんを食べたくて起きることもありますね。ごはん食べて、それからまた寝ます。家にいたら自分で作って食べますし、ホテルならルームサービスを取って、それを食べてから、また寝ます」
ーー睡眠導入剤を使うこともありますか。
「この間、使おうかなと初めて思いました。登板した夜、寝られなかったんです。でも、今のところ使ったことはありません。やっぱり投げた日の夜は寝られないんです。そういう日はしょうがないと思って無理に目をつぶってます。横になったまま目をつぶるだけでもそれなりの 睡眠効果はあるんですよ。だから寝られないと考えてストレスにしてしまうのではなく、それ だけでいいんだと考えるようにしています」
ーー球場入りの時間もギリギリにして、練習時間も減らして、フレッシュな状態を保つために 睡眠時間を、それこそ必死の思いで確保しているんですね。
「まあ、寝てるだけですけどね(笑)。それこそ、寝ていいと言われたら、いくらでも寝られますから」
ーーそれにしてもいかにフレッシュな大谷さんとはいえ、いったいなぜ、あんなに打球が遠くまで飛んでいくんですか(笑)。
「いや、でも今年は飛んでませんよ。引っ張ったほうが飛ぶなという印象が強くて、流した打球は今年のボール(今シーズンから導入されている反発係数を下げた飛ばないボール)だと飛ばないなと感じているので......今までのボールだったら流した打球が何本も届いているはずですから、もっとホームランは増えていたでしょうし、打率も上がっていたと思います」
ーーもっと増えてたって......いやいや、8月までで42本も打ったじゃないですか。
「それは、打つ方向性が変わったのがたまたまハマってくれたのかもしれません」
ーー打つ方向性?
「一番力が伝わる方向が今までは左中間寄りだったんですけど、今年はセンターからちょっと右くらいの方向の打球が一番力を伝えられるようになったんです」
ーーそれは意図した試みだったんですか。
「単純にピッチャーの投げる球が速くて、今まではできなかったんです。まっすぐだけじゃなくて、変化球も速いじゃないですか。バッターにとって90マイル(約144km)95マイル(約152km)ではまったく違うんです。速いボールを引っ張って弾き飛ばせるためのフィジカルと技術があるかないか。結果的にそういうバッティングができるようになったことで打球の方向性が変わって、右方向に飛ぶ当たりについては今年のボールの影響を受けずに済んでいるんだと思います」
打率に対する意識は?
ーーその速い球を引っ張るバッティングができるようになったのはなぜなんですか。今年はスイングの軌道もかなりアッパー気味に変わったように見えますが......。
「スイングの軌道自体はずっと変わってないんですよね。とにかく去年は左ヒザが痛くて使えなかったので、そこに尽きるというか......こういうふうに打ちたいな、というのはずっと思っていましたけど、それができない。ヒザを手術して、今年はそれができるようになったということです」
ーーこういうふうに打ちたい、というのはどういうバッティングなんですか。