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「日本は個の力がとても弱かった」トルシエが嘆くパリ五輪金スペインとの“決定的な差”「コレクティブは同じだ。ただ残念だが決定機を…」
text by
田村修一Shuichi Tamura
photograph byTakuya Nakachi/JMPA
posted2024/08/26 17:02
パリ五輪スペイン戦後、号泣する小久保玲央ブライアン。結果的に金メダルを獲得した相手に敗れたチームを、トルシエがあらためて評価する
「その通りで、日本に欠けていたのは恐らくは個の力だった。経験豊かな個の存在の欠如。突出した個性の欠如。スペインが組織と個の比率が60:40であったなら、日本のそれは80:20だった。日本は80%が組織で、個の割合は20%でしかなかった。細谷真大や藤田譲瑠チマ、高井幸大、小久保玲央ブライアンらを別にすれば、他は個のレベルでは極めて平均的だった。グループステージでは斉藤光毅や三戸舜介の個性も光ったが、その後すぐに消えてしまった。
個の力は、とても弱かったと言わざるを得ない
――たしかに。
「大会全体を通しては、日本は個の力に関してとても弱かったと言わざるを得ない。コレクティブな力、連帯感や統一感については見るべきところが多かったが、残念なことに組織と個の比率においては個の力が足りなかった。スペインに0−3で敗れたのはまさにそれが理由で、個の力とはキャラクターでありプレーの精度であり選手のタレントだ。日本にはコレクティブなタレントしか存在しなかった。斉藤や藤田らを別にして、個のタレントの面では不十分だった」
――とりわけ攻撃面において、個の力が足りなかったのですね。
「その通りだ。スペイン戦でも得点チャンスが幾度となく訪れたが……」
<つづく>