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「もう全盛期と比べて見る影もないね」前田日明が“ヒョードル引退試合”に感じた本音…リングスの総帥が“人類最強の男”と出会った日
posted2023/03/31 11:01
text by
堀江ガンツGantz Horie
photograph by
Susumu Nagao
最後の相手は4年前に一度敗れている現Bellator世界ヘビー級王者ライアン・ベイダー。結果は1ラウンドTKO負けで有終の美を飾ることはできなかったが、会場にはレジェンドたちが多数集結。かつて最強の名をほしいままにしたヒョードルの功績を讃えた。
そんなヒョードルを発掘し、2000年9月に初来日させて世に出るきっかけを作ったのがリングスの総帥・前田日明。格闘技界の論客としても知られ、今年1月からメールマガジン「前田日明の『日本人はもっと怒ってもいいはずだ』」をスタートさせた前田に、ヒョードルのデビュー秘話と今回の引退について語ってもらった《NumberWebインタビュー第1回/#2、#3に続く》。
◆◆◆
前田日明は“ヒョードル引退試合”をどう見たか?
――前田さんは登録者数21万人のYouTubeチャンネルで以前からさまざまなことを発信されてきましたけど、今回あらためてメルマガを始められた理由はなんだったんですか?
前田 YouTubeってなんでも自由に発信できるようでいて、言っちゃいけないこと、禁止用語なんかがいっぱいあるんですよ。しかもその基準が曖昧で、正直言って誰も正確なことはわからない。だからYouTubeも続けながら、自分の本当に言いたいことをメルマガで発信していきたいなと思って始めたんですよ。
――なるほど。では、ここでは格闘技の話題にしぼっていろいろと伺っていこうと思うんですが、ヒョードルの引退試合の映像はご覧になられましたか?
前田 ヒョードルの引退試合は観ましたよ。もう全盛期と比べて見る影もないね。ヒョードルは相手の動きに対しての反応も良かったし、打撃や関節技に決定力があったんだけど、それが全然なかった。身体のキレも悪かったね。
――かつてのヒョードルは踏み込みの速さとハンドスピードが、ヘビー級離れしてましたもんね。
前田 速いだけじゃなくて冷静で的確だったし、組んだ瞬間の動きなんか独特だったね。本来すごいんだよ。
――ヒョードルの全盛期が2000年代半ばから後半として、あれからすでに15年ほど経って、今は46歳ですからね。
前田 もう46歳なんだ。46でやったんだったら逆にビックリしたね。そんなやらなくてもいいのになって思うけど。最初の引退は35?
――2012年に一度引退しているので、その時35歳でもう11年前ですね。