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やり投げ大国チェコでも大人気! 笑顔の金メダリスト北口榛花が世界を魅了するワケ「チェコの選手ってことでいいよね」SNSで国籍変更を願う声も
text by
及川彩子Ayako Oikawa
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2024/08/14 19:11
パリ五輪やり投げで金メダルに輝いた北口榛花。銀メダルのファンダイク (南アフリカ/左)、銅メダルのオグロドニコワ(チェコ/右)とともに表彰台で喜びを表現した
これまでやり投げはチェコやドイツ、ルーマニア、ハンガリーなどいわゆる旧東ヨーロッパ勢がメダル候補の種目だった。しかし東京の翌年、世界選手権オレゴン大会はオーストラリアのバーバー、昨年のブダペスト大会は北口、そして今回も北口が金メダル、南アフリカのファンダイクが銀メダルと非ヨーロッパ勢が台頭している。
ファンダイクは「やり投げの勢力図が変わってきていること、自分がその中にいることを誇りに思う。各国の指導者のレベルが上がり、練習方法が変わってきていることも要因だと思う」と話す。
「ハルカのような選手が出てきてうれしい」
世界選手権オレゴン大会で銀メダルのウィンガーは「欧州遠征に行くと、ヨーロッパ勢が大半で、米国人の私はなんとなく居場所がなかったけれど、ハルカのような選手が出てきてうれしい。ヨーロッパ勢じゃなくてもやり投げで上位に行けると私たちが示すことができたし、ハルカはいつもニコニコしているので、同じ大会に出る時はいつも楽しい雰囲気でパフォーマンスできた」と教えてくれた。
北口はほかの選手たちとの関係をこう表現する。
「やり投げの特性上、やりを貸し借りすることもある。私は日本からヨーロッパに行くことも多く、やりを持っていけない試合で助けてくれるのはライバルでもあり、友達の選手たちです。ライバルでもあり、友達でもあると言う関係性は今も変わっていないし、一緒に戦えることを嬉しく思って毎試合臨んでいます」
世界選手権、五輪を制覇した北口に追いつけ、追い越せと他国の選手、とりわけチェコ選手たちも奮起してくるだろう。
ライバル選手たちと切磋琢磨し、北口が今後どのような放物線を描いていくのか楽しみに見守りたい。