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なでしこDF北川ひかる「このタイミングで…」五輪直前にケガ→美しいFK弾まで諦めず、“涙の米国戦”から前を向くワケ「また強くなりますよ」
posted2024/08/13 06:02
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoki Morita/AFLO
サッカー人生において、初めて決めた直接フリーキックが五輪の大舞台になるとは――。
今夏、なでしこジャパンがパリでの戦いでSNSを賑わせたシーンを挙げるなら、谷川萌々子が決めた“30mの超ロングシュート”、そしてナイジェリア戦での北川ひかるのフリーキックだろう。
鋭いカーブを描きながらネットに突き刺さった北川のゴールは「中村俊輔を彷彿とさせる」と、日本が誇る名手と重ねる声が多数見られた。
当の本人は同じレフティーであるからこそか、そんな評価に謙遜する。しかし今大会に懸ける思いは人一倍だった。
「このタイミングで…」五輪直前のケガ
7月石川県の金沢ゴーゴーカレースタジアムで開催されたオリンピック前最後の壮行試合・ガーナ戦に臨んだ北川は、地元・金沢で躍動する姿を見せた。
しかし試合終了間際、右ひざを強打し、負傷交代するアクシデントに見舞われたのだ。右膝を押さえながらピッチを去る北川の姿に心配する視線が集まった。
本人も後にこう振り返っている。
「『このタイミングで……』と思っていました」
なでしこジャパンの左サイドは、パリ五輪切符を手にする前からピンチに陥っていた。左ウイングバックとして2023年W杯で主力として活躍した遠藤純、さらには攻撃の核だった宮沢ひなたと猶本光をケガで欠き、五輪最終予選・北朝鮮戦に臨まなければならなくなったのだ。
その中でチームを救う存在となったのは、北川だった。
国立競技場での第2戦で先発出場すると、高橋はなの先制ゴールを呼び込むフリーキックを蹴り込むなど、2−0での五輪切符獲得に大きく貢献。本番のパリ五輪メンバーにも選出された。
それだけ充実一途にある北川も出場できなければ、なでしこジャパンの“左”はどうなってしまうのか――それでも北川はチームとともにフランスに渡り、第3戦から戦列に復帰した。
石川出身だからこそ、出場を諦めるわけには
彼女自身、絶対に出場を諦めるわけにはいかなかった理由がある。