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「泣かないで…」負傷離脱・清水梨紗と長谷川唯が“荷物整理のちハグ”、田中美南は「RISA 2」ユニを…“TVに映らない”五輪なでしこ舞台裏
posted2024/08/13 06:01
text by
NumberWeb編集部Sports Graphic Number Web
photograph by
Naoki Morita/AFLO
清水梨紗と長谷川唯は、幼少期から常に盟友であり続けている。
日テレ・東京ヴェルディベレーザの下部組織出身で、なでしこジャパンでも世代別代表を含めて10代の頃からずっと世界を相手に戦ってきた。さらには新シーズンからはマンチェスター・シティ・ウィメンで再び、同じユニフォームに袖を通す。
「私は大丈夫だから」清水は周囲を気遣った
長谷川いわく、2人は「毎日いつも、連絡を取り合っている」ほどの関係だ。
それほどまでに日常的にやり取りするからだろうか。パリ五輪帰国時の取材対応で、清水がケガでチームから離脱した際の出来事について問われると「感動的なものはないですよ」と話していたのだが――。
清水は長らく、なでしこジャパンの右サイドを切り盛りしてきた。そんな彼女にとって2度目となる五輪の舞台が暗転したのは、初戦スペイン戦の後半21分だった。相手の仕掛けに対応しようとした瞬間、足を取られるようにスリップした。清水はピッチに倒れたまま交代を要求し、担架へと乗せられた。
サッカーは五輪開会式前から競技が始まる。それゆえ清水は「見てくださる他競技の人たちの力になったり、日本を盛り上げられればと思います。初戦にこだわっていきたいです」と、大会前に意気込んでいた。
そんな清水が、わずか1試合でチームを離れる。その事実は、単に選手が1人少なくなること以上の意味をチームに与えていた。
誰よりも辛かったのは当の本人であることは想像に難くない。それでも清水自身は努めて気丈に振る舞った。チームに離脱を伝えるミーティングでは、自身の無念さを吐露するよりも、むしろ周囲を思いやった。
「私は大丈夫だから、金メダルを取って日本に戻ってきて」
また最後にチームメイトと別れの挨拶をする時も、笑顔で仲間を励まし続けた。
「泣かないでー」「改めてさすがだな、と」
「梨紗はああいう別れ方をしようと、心に決めてやっているのがよく分かったんです」
こう話したのは長谷川である。