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女子スケボー「笑顔の演技」で話題の16歳“鬼姫”草木ひなのとは何者か?…「新世代の突き上げ」「度重なるケガ」五輪出場のウラにあった波乱万丈
text by
吉田佳央Yoshio Yoshida
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/09 11:04
初出場の五輪で決勝進出を果たした「鬼姫」こと16歳の草木ひなの。笑顔溢れる滑りで多くのファンの心を掴んだ
どうしたら彼女の不安を取り除けるのか? 何ができるのか? 出した答えがコーチを同行させることだった。
実は彼女には今年から冨川蒼太コーチが付いている。草木自身が「憧れ」と公言する存在で、まだまだ現役のトップスケーターだ。コンテストにおける戦略はもちろんのこと、メンタル面でも彼女を支えてくれる人が絶対に必要になる。
そこで仲間内を代表して常に同行させることで彼女の支えとなったのだ。ここで予選終了後の彼女のインタビューを思い出してほしい。
2回目のラン終了後に「パンピング、スピードの付け方を意識して3本目滑りな」というアドバイスをもらったと話している。その後の3本目に入る彼女の表情を見たとき、筆者はなぜか安心した。
たった1人のコーチからの助言かもしれないが、その裏には多くの仲間の気持ちが見えない力になっているのをどことなく感じたからだ。そして見せてくれたノーミスのラン。心から安堵した。おそらく彼女に会ったことがある人は皆がそう感じたのではないかと思っている。それは誰にも分け隔てなく笑顔で優しく接する草木の人柄がそうさせるのだろう。
トレードマークの「明るい笑顔」は変わらず
筆者も彼女を何度か撮影させてもらったことがあるが、オリンピックで見せた明るい笑顔そのままで、いつも現場の空気を明るく照らしてくれる太陽のような存在だった。
確かに決勝では全てのトリックを成功させることはできず、表彰台に上がることはできなかった。
ただこれからもパリで見せた笑顔で楽しく滑り続けてくれれば、彼女の未来は明るいものになると確信している。きっと日本の多くの方がそう思っているに違いない。