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池江璃花子「立ちくらみのような症状」は心配だが…「最近は悔しいですとばかり言っている」パリ五輪の言葉から見えた“4年後への覚悟”
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/08/07 11:00
100mバタフライからメドレーリレー、パリ五輪では計6レースに出場した池江璃花子(24歳)
唇を噛むように語った「4年後にリベンジ」
唇を噛むように言った。
「ここまで練習してきて、100バタへの恐怖心をまだ拭い去ることが出来なかったのが事実」とも振り返った。しかし、この直後に出てきた言葉が池江の強さを示していた。
「私は代表に入って来年で10年になる。ここで気持ちが折れている姿をみんなに見せるべきではない。まだ(パリ五輪の)競技は始まったばかり。チームのサポートだったりリレーもまだ残っている。バタフライは(決勝に進んだ)平井(瑞希)選手に全部託して、頑張ってもらえたらと思います」
そして、このように言葉を継いだ。
「55秒台はすぐ出るかなという自分の中の期待もあったんですけど、結局その目標にも届かなかった。でもまた4年後にリベンジしに戻ってこようという気持ちになった」
「最近は悔しいですとばかり言っている」
東京五輪に奇跡の復活出場を果たしてからしばらくの間は「過去を振り返らない」と言い、あえて口にすることのなかったリオ五輪の時の思いについても自ら触れるようになった。
100mバタフライ準決勝の後、池江はこのように語った。
「リオが終わった16歳の時にはもう言っていたのですが、自分の中ではオリンピックは出るだけではつまらないという気持ちでここまで来ています。やはり決勝に残らないと戦いは始まらない。スタート台には立てたけど戦わずして終わってしまった」
さらには「最近は悔しいですとばかり言っている。周りのレベルも上がっていますが、自分が成長していないということでもあると思う」とも言った。
とことんまで厳しい言葉を自分に向けるのは、高い位置が視界に入ってきた証拠でもある。そして、4年後に向けてはこのように語った。
「退院したあとにパリに行くと言って、その目標はしっかり達成できた。いますぐは気持ちの整理も必要だけど、4年後の次のオリンピックに向けて、自分の目標をしっかり立てて、その目標をクリアできるように、そしてその目標をもっと高いものにできるように、もっともっと努力していかなければならない」