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“タメ口”で「なみ」「ちぃ」と呼び合い…シダマツの意外な関係性「志田千陽が松山奈未に惚れ込んだ」笑顔の銅メダルのウラ側「なみ泣きすぎ(笑)」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byRyosuke Menju/JMPA
posted2024/08/06 12:21
銅メダルを獲得し、2人でハートのマークを作るシダマツペア。志田千陽(右)と1歳年下の松山奈未(左)は「なみ」「ちぃ」と呼び合う仲だ
その後も得点を積み重ね、第1ゲームを21-11で先取し、第2ゲームも20-11まで追い込む。最後の1点、松山のサーブ。相手の浮いた返球を、後ろへ下がろうとする足元へ狙ったように押し込む。シャトルが足にあたる。それを見て、松山が背負い込んだものをすべて下ろすようにしゃがみ込みラケットを手放す。その体勢のまま親指をあげ、志田に視線を送る。2人は笑顔で抱擁を交わす。
「なみが泣きすぎて、涙がもう出てこない(笑)」
試合前は「気を抜いたら涙が出てしまうような状況」(志田)だったという2人。松山は「本当に試合をするのが怖くて、自分自身にも自信がない状態だった」と声を少し震わせながら心中を吐露。「試合が終わってすごくホッとした」と安堵の表情を見せた。
2人が試合前に話し合ったのは、「自分たちの戦い方をどう貫くか」だった。
「やっぱり相手よりも先に落として攻める、自分たちらしい展開を作れたらいいね、って話していました。昨日(の準決勝)はちょっとそれができなかったんですけど、また今日は全然違う展開になるかなと思っていたので、そこは自信を持って。出だしは自分たちらしくいこうっていう話を2人でして、入りました」(志田)
シダマツらしさを結実させた2人。志田が笑いながら続ける。
「私も泣けたんですけど、なみが泣きすぎて、『えー!』と思って、涙がもう出てこない(笑)」
笑顔と涙の結晶のような銅メダル。最後には笑顔だけが残っていた。