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「2位もお金はもらえるけどさ…」漁師育ちの父がプロゴルファーの娘に伝えた“1番になる”重要性「日本代表」を選んだ笹生優花が目指す金メダル
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byPatrick Smith/Getty Images
posted2024/08/08 17:03
父・正和さんも驚いた2度目の全米女子オープン制覇
日本とフィリピンの狭間で生き、「様々なことを意識している」と正和さんは言う。
「実はね、優花はそこをものすごく意識している。日本に来たらフィリピン人、フィリピンにいたら日本人って言われてね。ジュニアの頃、日本で『フィリピンに帰れよ』と言われたこともあった。でもね、優花は日本にいるときは日本人、フィリピンに行けばフィリピン人なんです。
私と妻が生まれた国でどちらの国にも自分のルーツがある場所なんですから。だから前回の五輪はフィリピン代表だったけれど、日本のファンにも注目してもらった。今回は日本代表として出るけれども、また両国のファンがたくさん応援してくれることを楽しみにしています」
“多様性”という言葉をよく耳にする昨今であるが、笹生が日本人、フィリピン人であることが重要なのではない。彼女の人間性、そしてゴルフの世界で一番を目指すいちアスリートとしての姿勢とプレーが多くの人たちを感動させているという事実がある。
日本は世界各国の中でも五輪への注目度はかなり高く、話題にもなりやすい。だからこそ、父の母国である日本にメダルをもたらすことができれば、ゴルフファン以外にもその活躍ぶりが届くばかりか、ゴルフの認知度も上がる。そうなれば父・正和さんへの最高の親孝行になるはずだ。
東京五輪で銀メダルを獲得した稲見萌寧に続く日本勢2人目のメダル、いや、日本ゴルフ界史上初の頂点を見据えている。
(全3回・完)