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「2位もお金はもらえるけどさ…」漁師育ちの父がプロゴルファーの娘に伝えた“1番になる”重要性「日本代表」を選んだ笹生優花が目指す金メダル

posted2024/08/08 17:03

 
「2位もお金はもらえるけどさ…」漁師育ちの父がプロゴルファーの娘に伝えた“1番になる”重要性「日本代表」を選んだ笹生優花が目指す金メダル<Number Web> photograph by Patrick Smith/Getty Images

父・正和さんも驚いた2度目の全米女子オープン制覇

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キム・ミョンウ

キム・ミョンウKim Myung Wook

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Patrick Smith/Getty Images

 松山英樹の銅メダルに沸いたゴルフ界、続いて注目は女子ゴルフに向けられる。キープレイヤーは自身2度目のオリンピックとなる笹生優花だ。東京大会はフィリピン代表として出場したが、大会後に日本国籍を取得し、今大会は日の丸を背負う。23歳にして2度も全米女子オープンを制した逸材は、ゴルフ界初の金メダルをもたらすことができるだろうか。父・正和さんを取材した。【NumberWebインタビュー全3回の最終回】

 笹生優花がこだわったという飛距離アップのためのトレーニングは、年を重ねるごとにハードを極めた。

 2.5キロのアンクルリストをつけてのランニング、さらに自転車こぎ、8ポンド(約3.6キロ)メディシンボールの投げ合い、1.2キロのバットの素振りを100回、80キロのバーベルを担いでの下半身強化などがメニューだ。

 笹生本人から「10キロベストをつけてスクワットを最高で2500回したことがある」と聞いてビックリしたことがある。男子顔負けだ。それでも笹生は弱音を吐くことはなかった。夢を実現するためならば、辛い練習にも耐えられる“才能”を持ち合わせていた。

 それにしてもだ。10代の自分の娘にここまで厳しく接することができるだろうか。

 厳格な“オヤジ”像が見え隠れするが、背景には正和さんの幼少期の経験が大きく影響している。

漁師の家に生まれ育った父・正和さん

 現在は不動産賃貸業が主な仕事だが、正和さんの親は漁師だった。

「もともと、私の家族はみんな漁師。幼稚園のころからアワビやサザエをとって暮らしていたんだから(笑)。小学1年時から高校3年まで、手伝いで毎朝、網を上げに行ってね。伊勢エビを獲る時は朝3時に起きてましたよ。場所? 千葉の外房で鴨川のほうです。水産高校出身なんだけれど、遠洋漁業で捕鯨船に乗ろうと思って無線科に行ったんです。でも親父が倒れて他の仕事をやってくれとなった。ほんとは船に乗りたかったんだけれどね」

 その後はJRや建材の仕事などを経て、東京で独立して起業。現在に至るというわけだ。真っすぐで多少ぶっきらぼうな口調だが、冗談話もうまい。漁師町で育ったことを連想させるが、性格も“漁師”仕込みだ。

「漁師って博打みたいなもんです。ガソリンかけて取れなかったら赤字。でも一日で家が建ってしまうほど稼げることがあるのも事実。農家のように農作物ができるのを待つ職業とは違って、浮き沈みが激しいけれど、一攫千金は間違いない」

 そこで間髪容れず、「ゴルフの攻め方とまったく同じですね」と伝えると大笑いして、言葉をつないだ。

【次ページ】 「お金はもらえるけど2位じゃ名前が残らない」

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