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「2位もお金はもらえるけどさ…」漁師育ちの父がプロゴルファーの娘に伝えた“1番になる”重要性「日本代表」を選んだ笹生優花が目指す金メダル
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byPatrick Smith/Getty Images
posted2024/08/08 17:03
父・正和さんも驚いた2度目の全米女子オープン制覇
「ゴルフは2位でもお金は多くもらえるかもしれないけれど、歴史には名前が残らない。2位の選手の名前って思い浮かばないんですよ。だから1番になって名前を刻まないといけない」
名前を刻む――それはお金には代えられない名誉。その価値の大きさは、全米女子オープン2度の制覇で身に染みた。
「ゴルフは1位以外の人は、名前が載らないんです。優花が初めて勝ったとき、USGAゴルフミュージアムに名前が刻まれたんですが、そこに日本人の名前があったのは服部道子(1985年全米女子アマ優勝)だけだったんです。優花のように2回以上並ぶ人はほとんどいない」
笹生自身は常にこんな目標を掲げている。
「小さいときからアニカの記録(通算72勝)を超えたいと言っている。もちろんまだまだメジャーは勝ちたいし、グランドスラムもやってみたいって言っている。あとは世界ランキング1位になること。まだそれは達成してないからぜひとも頑張ってほしい」
東京五輪後に日本国籍を取得
パリ五輪にしてもそうだ。東京五輪はフィリピン代表として出場したが、2021年に日本国籍を選択した笹生は、パリ五輪には日本代表として出場する。
全米女子オープン優勝の表彰式で「2021年の優勝は母への恩返し、今回は父に恩返し」と語っていたように、笹生は日本とフィリピンの両国のファンに支えられているのを認識している。これは自身の強いアイデンティティーでもある。