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「絶対に恨んだりしない」涙する娘が父と交わした“誓約書”…ゴルフ笹生優花の原点「この書面にサインしたら、練習時間は親子じゃないよ」
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byGetty Images/Shigeki Yamamoto
posted2024/08/08 17:02
パリ五輪初日は5オーバーと出遅れ、巻き返しに期待がかかる笹生優花(23歳)。二人三脚でサポートしてきた父・正和さん
それに正和さん自身、若いころから様々なスポーツを経験してきた。それが娘の指導にもつながっている。
「昔の人はみんな見栄っ張りでね。隣の人が剣道やってるとか、柔道も空手もやったとか言うから自分もやらされるんですよ。私はおじいさん子だったんだけれど、試合に勝つと孫がこうだとかで自慢して喜んでくれるんだね。だからいろんなスポーツにのめり込みましたよ」
「自分がやってきたことは間違いでなかった」と思ったのは、ジャンボ尾崎(尾崎将司)との出会いだった。日本ツアーに初参戦した2020年、尾崎が初めて笹生のスイングを見たとき、そのパワーに「一体どんなトレーニングをしてきたんだ?」と驚いたというエピソードは有名だ。
続ける才能と飽きさせない工夫
それにしても、普通に考えても小学生の女子が続けられる運動量ではない。一つ間違えれば、ゴルフが嫌いになったり、ケガのリスクも想像できてしまう。それでも、笹生の場合は少し違ったと正和さんは感心する。
「子どもって好きなものに関しては、すぐ夢中になるけど、飽きるのも早い。だから、飽きないで1つのことをずっとやるのも才能なんだよね。上手い下手はともかく、ずっと続けられるのはやっぱり才能ですよ」
一方で、ゴルフを嫌いにならないように、飽きさせない工夫もした。
「例えばフィリピンに行って3カ月後くらいにローカルのジュニアのトーナメントに出させました。1~3位はトロフィーで、4~5位はメダルがもらえる。子どもはそれがもらえると嬉しくなる。結果が出て喜んでもらえる工夫や練習でも色んなバリエーションのアプローチの打ち方を選択させてやらせたり、自分も学びながら教えていましたよ」