ゴルフPRESSBACK NUMBER
「ダボ叩いても…セーフティーにしては世界では絶対に勝てない」23歳で“世界一”を2度達成…楽しみすぎるパリ五輪ゴルフ代表・笹生優花の未来
text by
キム・ミョンウKim Myung Wook
photograph byKevin C. Cox/Getty Images
posted2024/08/08 17:01
東京大会に続き、2度目の五輪出場となる笹生優花(23歳)。初日は5オーバーと出遅れたが、巻き返す力はある
優勝後には現地で周囲からこんな話も聞かされたという。
「2000年から2024年まで全米女子オープンで2回勝っているのが、カリー・ウェブ(2000、2001年)とパク・インビ(2008、2013年)、そして優花の3人だそうです。その前はアニカ(・ソレンスタム)が3回(1995、1996、2006年)勝っているけど、カリーもインビもアニカも現役ではないし、次に優花が勝ってアニカの記録に並ぶかもしれないって、現地でそんな話をしてくるんですよ。まだ23歳だしね、って。私はそんなのチェックも調べたりもしないもんだからさ」
笹生は日本ツアーでプレーしていた19歳の時、「夢はアニカの記録に迫ることです」と語っている。アニカは米女子ツアー通算72勝、そのうちメジャーは10勝と圧倒的な強さを誇る。
また、その強さを象徴するエピソードがある。笹生は2021年の全米女子オープン初優勝のあと、翌年からキャロウェイと契約を結んだ。長年、世界1位に君臨してきたアニカが使用したクラブメーカーからオファーをもらったわけだが、この時、同社の社長自らが笹生を社屋に招待した。「アニカと同様に一生付き合っていきたい選手」と言われ、提示された金額は“想像以上のもの”だったという。
契約金額の大きさは、選手の価値と評価を知る一つの指標だ。アニカが成し遂げた米ツアー通算勝利数「72勝」に追いつくのはかなり先の話でもあるが、全米女子オープンの優勝回数だけを見ても、さらにその上をいく可能性は十分に残されている。
こんな逸材が、日本代表としてパリ五輪に出場するだけでも十分誇らしいことである。
(第2回に続く)