「野球界に恩返しをすることが第一です。これだけの経験をさせていただいたので、いずれは野球界で何かをしたいとずっと思ってきました。何年後になるのか分からないけれど、慶応大学も含めて大阪桐蔭でもお声がけいただければ指導者になりたいと思っています。

　ただ、一人の人間として会社に入った以上、社会のことを学ぶのも大事。社業に打ち込んで今までやってこられなかったことに取り組むことも選択肢の中にはあります。社会を知ってから指導者になるのもいいと思っていて。野球だけだと幅というか視野が狭いと思うので、知見が多い方が指導に生かせると思うんです」

　プレーヤーとしての目標もある。

「社会人野球の日本代表になってみたいんです。今まで日本代表になったことがないので。そう言えば、自分は今まで野球での自分の目標を語ったことがあまりないんです。チームがこうなればいいとか、そういうことしか言ったことがなかったんですけれど、目標を聞かれると、やっぱりチームが勝つこと、と言っちゃうんです。実際、それは大事なことなんですけれど、野球をやっている以上は日の丸を背負うことは憧れなので、今はそこを目指したいです」

「キャプテンとは」という質問への答えは…？

　最後に、「キャプテンとは？」と、ありきたりな質問を敢えて福井に投げかけてみた。

　すると、迷いなくするするとこう答えた。

「監督や上の人の意見を分かりやすくチームに伝える役目です。決して偉いとか強いとか、そんな風に思ったことはありません。いかにうまく言葉を転換できるか、噛み砕けるか、というか。難しい立場ですよ、実際は」

　それでも、ここまで抜群のリーダーシップを見せてきた。

　福井章吾、25歳。彼が発する言葉の力は、年齢を重ねる毎に着実に強くなっている。

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