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「最高の形でした」“あのオフサイド弾”だけでなく…なぜJリーグで不振だったFW細谷真大がパリ五輪で輝けたか「ただ、もっと大事なところで」
text by
了戒美子Yoshiko Ryokai
photograph byMutsu Kawamori
posted2024/08/11 11:02
スペイン戦では“幻のゴール”に泣いた細谷真大だったが、FWとしてのポテンシャルの高さをパリ五輪で見せた
「僕自身は(得点者は)誰でも良いのですが、選手の中ではU-23アジアカップでもそうだけど彼に対する思いがあるんです。彼もそれを感じながら(プレーしている)。彼の良さは得点だけじゃないとみんな分かっているし、それがあっての細谷真大なので。それを彼も分かって貢献してくれているご褒美だと思う」
前線の選手は得点してこそだが、それだけで成立するものでもないということを認めてのコメント。だが一方で、エースであるということは、チームメイトからの重圧とまでは言わずとも信頼と表裏一体の期待を受けているということ。だからこそ“ご褒美”という表現に行き着くのだろう。
「もっと大事な所で決められる選手に」
細谷がエースと呼ばれるのは、大岩ジャパン活動における最多13得点を決めているからでもあり、22年からすでにA代表に招集され得点を挙げており、この世代で一歩リードする存在となったからこそでもある。
スペイン戦に敗れ、エースとしてどう感じているかという質問に対してこう答えた。
「もっと大事なところで決めないといけないし、決められる選手にならないといけない。こういう大舞台でこういう結果になったのは凄く悔しい」
強く印象を残したものの、1得点という結果を不甲斐なく感じているようだった。果たして今後、結果を出せる真のエースとなるために細谷はどのようなキャリアを選択していくのか。彼の成長はそこにかかっている。
そんな細谷を信頼して最前線に起用した大岩剛監督もまた、慎重さと情のもろさを併せ持つ指揮官だった。
<つづく>