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「ひなちゃんの銅メダルが見たい」早田ひなが“リザーブ”木原美悠の言葉に涙した理由…伊藤美誠らを支えた3年前、目を輝かせて想像したパリ五輪
text by
石井宏美Hiromi Ishii
photograph byKaoru Watanabe/JMPA
posted2024/08/05 11:02
卓球女子シングルスで銅メダルを獲得した早田ひな(24歳)
東京五輪の悔しさを糧に……と言われることもよくあったが、早田にとっては、むしろリザーブで過ごした日々は刺激的であり気づきの日々だった。
もちろん、そこに次のこの舞台では自分がという思いはあったはずだ。3年後の大舞台への布石。そのヒントが得られる、貴重な経験になると前向きな気持ちで捉えていた。
東京五輪では、選手をサポートするスタッフの献身的な姿も目の当たりにし、「卓球は選手一人では何もできない。周りの支えがあってこそ、不自由なく戦うことができる」ことを再確認。周囲への感謝の気持ちもこれまで以上に強くなった。
「諦めているひなを見たことがない」
「自分は天才ではなく、努力しないと成功しないタイプ」
早田は持っている才能を最大限に生かすために絶対的な努力を貫く精神力の持ち主で、幼い頃に早田を指導した両親からバトンを受け継いだ石田コーチもその才能にほれ込んだ。
「諦めているひなを見たことがないし、一日一日努力を惜しまない姿を見てきている。逆に全力すぎて怪我しそうだなと感じるときはそれを少し抑えてということを心配しないといけないほど。そんな姿を見てきているから、“これだけの才能を持っていて、これだけの努力をするんだから、チャンスがあるよな”って思いますよね」
中国という最強で最大のライバルに立ち向かっていく姿にも、「どれだけのアイデンティティと努力を積み重ねないといけないか……それは途方もない作業になり、なおかつ答えのないもの。ひながそれを“いつかやれる”と信じ続けられるのは、やはりそれを越えていけるようなひなの努力があるからこそ」だと石田コーチはいう。
卓球が強くなることだけを見据えるひたむきさと実直さ。尽きることのない周囲への感謝からは彼女の人間力が垣間見えてくる。