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「引退のことだけは知っていた」女子バレー古賀紗理那28歳が親友に明かした“人生設計”「結婚とか大事なことはいつもサラリと言うのに…」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2024/08/05 11:01
パリ五輪を最後に引退を表明した古賀紗理那(28歳)
「フランスといえば何?」
何を言っているんだと思いながら、エッフェル塔、凱旋門、フランスパンと返すと「なるほどね」と返信が来る。何のクイズかと思いながらやり取りを続けると、古賀から回答が届いた。
「おみやげ、何がいいかなと思って」
冗談交じりに言ってみた。
「じゃあ、メダルかな」
間髪入れず、返事が来た。
「任せろ、絶対獲ってくるわ」
長い付き合いの中で古賀がそこまでハッキリ、「獲ってくる」と明言するのを「初めて聞いた」と白井は言う。
「いつもはどれだけ本気でも表に出さずに、『今回も頑張ってくるわ』みたいな感じで、ヘラヘラしているんです。でもその紗理那が『メダルを獲る』と言い切る。すごい覚悟で臨んでいるんだ、ということがそれだけで伝わってきました」
2人の出会いは中学選抜の合宿
古賀とは同じ歳の白井は、2022年5月まで東レアローズでプレーした元選手だ。スタッフを経て、昨年からは父が監督を務める松蔭大学でコーチを務める。
親友を越えて、もはや家族に近い間柄という2人の出会いは、中学3年まで遡る。
中学選抜の合宿。主将で背番号「1」をつけた白井と、当時のチームで一番身長が高かったので背番号「2」をつけた古賀は、移動や整列のたびに隣同士になる。当時の古賀は今以上に人見知りで、合宿の同部屋になってもひと言、ふた言程度しか話さなかったが、毎回セットのように並んでいれば会話の機会も増える。
急激に距離が縮まったのは高校に入学してから。古賀は2歳上の姉と同じ熊本信愛女学院高、白井は神奈川県の大和南高に進み、全国大会では日本一をかけて戦うライバルだったが、コートを離れれば友達同士。恋愛相談をし合ううちに、熊本と神奈川と距離は離れていたが、毎日のように連絡を取り合うようになった。