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「引退のことだけは知っていた」女子バレー古賀紗理那28歳が親友に明かした“人生設計”「結婚とか大事なことはいつもサラリと言うのに…」
text by
田中夕子Yuko Tanaka
photograph byYUTAKA/AFLO SPORT
posted2024/08/05 11:01
パリ五輪を最後に引退を表明した古賀紗理那(28歳)
近すぎる関係性ゆえ、大事なことも何事もないようにサラリと言う。西田有志との結婚や、日本代表でキャプテンを務めると決めた時も、さぞ前から伝えていたかのように当たり前に「そういえば」と切り出す。「いやいや私、それ聞いていないから」と白井が突っ込むと、「言ってなかったっけ?」と言いながら古賀が変わらず話し続ける。
唯一の例外が、引退だった。
「世間の人たちは、紗理那が西田くんと結婚したから辞めるんだろう、と思っていますよね。でもそうじゃない。そもそも紗理那は私が出会った頃から『27歳ぐらいで引退する』って言っていたんです。まさか現役のうちに結婚するとは思わなかったですけど、もし結婚していなかったとしても、紗理那の中では人生設計通りに進んでいるだけ。だからあれだけ必死に、自分がやり切ると決めたところまでやり抜いてきた。パリまでは本気でやると決めてやりきった紗理那は、本当にカッコよかったです」
「やりきった」と言えない歯痒さ
8月4日、日本代表の準々決勝進出に残されていたわずかな可能性が潰えた。ケニアにストレート勝ちを収めたことで、フランスがアメリカに3対0で勝てば進出が決まったが、長年バレーボール選手としてトップで戦い続けてきた古賀からすれば、アメリカとフランスの力関係は熟知している。
ケニア戦後のフラッシュインタビューで、古賀は2度も繰り返して言った。
「今日勝って、最後かもしれないし、最後じゃないかもしれない」
その言葉を口にする心情を考えると、胸が詰まる。本気で、バレーボール人生の全てを懸けて戦うと示して臨んだ最後の大会が、こんな形で終わろうとしているのに「やりきった」と言えない悔恨――。
それでも、古賀紗理那は最後まで強かった。そしてどれほどバレーボールが大好きか。ボールを追いかけ、仲間と勝利を喜ぶ姿から伝わってきた。