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「3年間で身長が22センチ伸びた」東京五輪銀・開心那15歳だけでなく…スケートボードメダル候補たちの“3年間の劇的変化”がスゴかった 

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松原孝臣

松原孝臣Takaomi Matsubara

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photograph byL)JIJI PRESS、R)Getty Images

posted2024/08/06 11:05

「3年間で身長が22センチ伸びた」東京五輪銀・開心那15歳だけでなく…スケートボードメダル候補たちの“3年間の劇的変化”がスゴかった<Number Web> photograph by L)JIJI PRESS、R)Getty Images

(左)東京五輪での開心那・当時12歳(右)2024年、15歳になり身長は22センチも伸びた現在

前回金メダリストが歩んできた“苦難の五輪ロード”

 開が“史上最年少”の称号を手にした東京五輪を制したのは四十住さくら(22歳)。スケートボードに朝も夜も励み、早くから頭角を現した。2020年には地元の酒造会社が倉庫を無償提供したことで専用練習場が完成。練習は、休日には8時間にも及んだ。

「(スケートボードは)彼氏です」

 と答えるほど、スケートボードは大好きで何物にもかえがたい存在だ。

「(女子パークで)連覇できるのは私しかいません」

 そう語っていた四十住だが、見据えていたパリへの道に一度は暗雲が立ち込めた。昨年5月、右膝後十字靱帯断裂の大きな怪我を負ったのだ。

 すでに五輪予選シリーズはスタートしていた。五輪出場枠は3つあるとはいえ、日本の層は厚い。楽観は許されない中、復帰戦となった10月の世界選手権は決勝に進んだものの8位にとどまった。

 今年6月、ブダペストの五輪予選シリーズ最終戦では準決勝で敗退。それでもポイントを積み重ねてきたことが最後に生きて、代表の座をつかみとった。

「怪我を乗り越えて出場権がとれました。すべてを出し切って連覇したいです」

岡本碧優に心を奪われた少女が挑む大舞台

 開と四十住が表彰台に上がった東京五輪をテレビで観ていたのはもう1人の代表、草木ひなの(16歳)。東京では、ある選手に心を奪われた。

「みすぐちゃん、かっこいいな、と思って観ていました」

「みすぐちゃん」とは、岡本碧優のこと。コロナ禍前の2019年、Xゲームズをはじめ国際大会で次々に優勝。東京五輪でも優勝候補筆頭にあげられていた。決勝では4位に終わったものの、最後まで果敢に攻める姿は観る者に強烈な印象を残した。草木もその一人だった。

 攻める姿がかっこよかったと言うように、草木もまた、リスクを恐れず攻めるスタイルを大切にする。スピードと、大技「540」は草木の代名詞だ。

 東京五輪後、日本選手権3連覇など頭角を現し、昨年10月の世界選手権では2位に輝いた。代表候補と目される中、ときに結果を求めることとやりたい滑りの折り合いに葛藤したこともある。それでも「やりたいことをやる」と腹を決めて、代表をつかんだ。

「かましてきます」

 と大舞台への抱負を笑顔で語る。

【次ページ】 スカイ・ブラウンは今大会でもライバルに

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