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バレーボールPRESSBACK NUMBER
男子バレー“笑顔の守護神”に壮絶な過去「あの頃は、ほぼご飯食べてなかった」リベロ山本智大(29歳)がどん底から日本代表のチャンスを掴むまで
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byXinhua/AFLO
posted2024/08/02 11:37
日本代表を支えるリベロ山本智大(29歳)
とわの森三愛高校では全国大会に出場して活躍。大学は関東大学リーグの名門・日本体育大学に進み、1年時からレギュラーをつかんだ。大学リーグでリベロ賞を獲得したり、世代別の代表候補にも選ばれるようになり、「Vリーグでやれる」という自信と野心が膨らんでいった。
ところが、上級生になり同学年の選手たちがVリーグのチームから内定をもらい始めても、山本の元には誘いが届かなかった。日体大の同級生の峯村雄大が、東レアローズに入団が決まったと伝えると、「いいなー!」と心の底からうらやましがられたと語っていた。
「初めてバレーが楽しくないと感じた」
そんな中でようやく、日体大の山本健之監督から面接に行くように言われたのがFC東京だった。声がかかったことにはホッとしたが、当時FC東京はVリーグの1部に当たるプレミアリーグ(8チーム)で最下位のチーム。悔しかった。
それでも、ここで試合に出てアピールし、上位チームへステップアップしていこうと決めた。大学を卒業した年に出場したユニバーシアードでは銅メダルを獲得し、日本代表入りの夢も膨らんだ。
ところが、Vリーグ1年目は先発出場の機会がほとんどなく、出番はレシーバーとしてセット途中に後衛の3ローテーションに入るのみ。
「『ここまで、いい感じに成り上がってきたのに!』という感じでしたね。試合に出られないのは初めての経験でした。大学まではあまりにもうまくいきすぎていたので、初めての挫折。初めてバレーボールが楽しくないと感じた時期でした」
それでも必死に練習することだけはやめなかった。
ただ、社業をしながらVリーガーでいることは想像以上に過酷だった。