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体操金メダル・岡慎之助に“敗れた中国エース”が語った称賛の言葉「互いに学び合える、良いライバル」“日本の20歳”はこうして世界を驚かせた 

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矢内由美子

矢内由美子Yumiko Yanai

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posted2024/08/01 17:12

体操金メダル・岡慎之助に“敗れた中国エース”が語った称賛の言葉「互いに学び合える、良いライバル」“日本の20歳”はこうして世界を驚かせた<Number Web> photograph by Getty Images

体操男子個人総合で金メダルに輝いた岡慎之助(20歳)と銀メダルの張博恒(右)と銅メダル・肖若騰

金メダルを争った中国選手が明かした“思い”

 息詰まる熱戦の中では、中国のエースの張が、岡を素直に称える様子も目を引いた。張は全6種目に出た団体決勝で最後に金メダルが手から滑り落ちるという悔しい結果に終わっていた。そして、疲労に鞭打って最後まで戦い抜いた個人総合でも僅差で優勝を逃すことになったが、その振る舞いは終始さわやかだった。

 鉄棒の点が出て岡の金メダルが決まった瞬間には笑みを浮かべて岡を称える視線を送った。

 会見では自身の思いを外連味なく語った。

「私はパリに来る前に完璧に準備をしてきました。ゆかでは間違いを犯しましたが、ちゃんと気を取り直しました。そして、最後まで頑張って追いつくということをしたわけです。最後に金を取ることはできませんでしたし、私のパフォーマンスを振り返ると、もちろんエラーはあったと思いますが、私は人間としては一歩進むことができたと思います。負けるということは試合では通常のことなのです。しかし、そこからどうやって立ち直るか、そこが人生の教訓だと思っています」

 張は日本とのライバル関係についても聞かれ、このように語った。

張博恒「互いに学び合える、とても良いライバル」

「最初に言えるのは、日本の体操は非常に強いわけです。私は日本のパフォーマンスをいつも見ています。国際大会での結果も見て、そして学んでいることもたくさんあります。見て、そして学ぶ。これは素晴らしいことだと思います。互いに学び合えるということ。体操競技はまだまだ向上できると思います。自分たちもうまくなれると思います。そして、より力をつけることもできると思います。やはり、強い人と戦えるからこそ意味があるわけです。だから、世界の体操にとってとても良いライバル関係だ、と思います」

 金銀銅メダリストが並んだ会見で、その言葉を聞いていた岡も横で頷いていた。

 思い起こせば、団体金メダルに輝いた時に岡は「まだまだ行けますね。あと2つ行けますね」とにやり笑っていた。

「あと2つ」の一つは個人総合。そして、残りの一つとして思い浮かべているのは種目別平行棒だ。リミッターを外したフェラーリはどこまで突っ走るか。残りの出番も楽しみだ。

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