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卓球まさかの大波乱「これはやばいぞ…」張本智和と早田ひなが“謎の北朝鮮ペア”に完敗、現地で何が起きていた?「早田は一瞬、笑みを見せて…」
text by
齋藤裕Yu Saito
photograph byAsami Enomoto/JMPA
posted2024/07/28 17:55
現地時間7月27日、パリ五輪の卓球混合ダブルス1回戦で北朝鮮ペアに敗れた早田ひなと張本智和
「あのプレーはミックスだけで言えば、世界のトップ10に入るぐらい、想像を絶するようなプレーでした。本当に悔しいですけど、あのプレーをされたらちょっとしょうがないかなと思いました」
もちろん張本も映像はしっかりと見ていた。ただ、「五輪予選ではこんなにいいプレーをしていなかった」。だからこそ「想像を絶するプレー」と表現した。
張本智和の後悔「4ゲーム目で取り切っていれば…」
試合中に戦術を変えられなかったのか。
「戦術はいろいろ試したんですけど、やっぱり一番は4ゲーム目を取り切れなかったこと。1-4で全部が悪いわけではないし、4ゲーム目であと1点取り切っていれば、流れは変わったかもしれない」(張本)
初戦の難しさについて問われると、頭を振ってこう説明した。
「初戦というより、北朝鮮ペアという相手のやりづらさがあった。これがもし準々決勝、準決勝と進んできたとしても、難しい試合になったと思う。でももし、2、3試合進んだ後だったら、もうちょっとはやりやすかったかも……」
田勢監督はトーナメントの組み合わせを初めて見た時に「北朝鮮とは初めてだが、あとは負けたことがなく、悪いドローではない」と決勝までの道筋に一定の自信を持った。しかし、その目論見は「謎の北朝鮮ペア」によって突き崩された(ちなみに北朝鮮ペアに取材を申し込むも国籍を聞かれ、結局「過度なストレス」を理由として取材に応じてもらえなかった)。
もう少し戦術の選択肢を持っていれば、組み合わせが別の組になっていたら、当たるのがせめて初戦でなければ……。
「どんなことを言っても受け入れるしかないので」
張本は最後にそう結論づけた。悔しさは残る。だが、まだ個人戦と団体戦が続く。悔しさを胸に戦える。日本の男女エースは、敗北の意味を誰よりもよく分かっているはずだ。