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橋本大輝は記者の質問に「ちょっと難しいですね…」体操エースまさかの不調、着地ミス…現場で何が起きていた? 「正常な判断もできなかった」
posted2024/07/28 17:41
text by
矢内由美子Yumiko Yanai
photograph by
JIJI PRESS
体操ニッポンのエース、橋本大輝(セントラルスポーツ)が予想外の展開に天を仰いだ。
パリ五輪体操の男子団体総合予選が27日に行われ、日本は全体で2番目の260.594で団体決勝進出を決めた。1位は263.028の中国だった。
決勝は予選の点数を持ち越さないため、金メダル争いは一発勝負になるが、東京五輪で個人2冠に輝いた橋本大輝は連覇を狙う鉄棒の着地で両手を着くミス。種目別決勝進出を逃したため、鉄棒の連覇の可能性がなくなるという痛恨の事態となった。
鉄棒以外も全体的に精彩を欠く苦しい内容。橋本に何が起きているのか。
NHK杯の練習で“右手中指靭帯”の損傷
「今日は良い演技は一つもなかった」
橋本は唇を噛むように言葉を振り絞った。
「久しぶりに試合をしたので、ちょっと調整がうまくいかなかったなと思った」
5月中旬、NHK杯の会場入り後の練習中に右手中指の靭帯を損傷し、NHK杯を欠場した。器具を使う練習を再開したのは約3週間後。その間は体力を落とさないようにしっかりと体を動かしていたが、NHK杯をスキップしたことによって試合の体力はやはり落ちていた。
パリ五輪団体総合予選は4月の全日本個人総合選手権以来、約3カ月ぶりの試合。パリ入り後も左肩を痛めていたといい、十分に練習を積めず調子は上がっていなかった。
日本は予選で跳馬からスタート。橋本はDスコア5.6の大技「ロペス」を跳び、着地で左足がラインオーバーしたため0.1の減点となったが、14.566はまずまずのスコアだった。
続く平行棒は5月のNHK杯の直前練習で右手中指の靱帯を断裂した種目。無難に乗りきることが重要である中、安定性重視の演技構成で臨み、14.833とここでもまずまずの点を出していた。
得意の鉄棒でまさか…着地ミスはなぜ起きた?
一転してまさかの事態となったのは得意の鉄棒だ。