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ヌートバー母「どうすれば子どもがメジャーリーガーに育つ?」への見解「親が子より熱心、はアメリカでもある」ヌートバー“骨折・打撲から復帰”の今 

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田中仰

田中仰Aogu Tanaka

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posted2024/07/25 11:05

ヌートバー母「どうすれば子どもがメジャーリーガーに育つ?」への見解「親が子より熱心、はアメリカでもある」ヌートバー“骨折・打撲から復帰”の今<Number Web> photograph by Getty Images

故障による離脱から7月に復帰したラーズ・ヌートバー。母・久美子さんは祈る思いで息子の活躍を見守っている

審判の納得いかない判定に「大声で叫んじゃう」

――今もラーズ選手の試合は現地やテレビ観戦で全試合見ているのですか。

久美子 もちろん。友人から「一緒に見よう」って誘われることもあるんですが、お断りしてます。友人と見ると試合に集中できないので、一緒に見るのはチャーリーだけですね。だって、審判のストライク判定に納得いかない時、大声で叫んじゃうから。あまり品がよくない言葉も……。

――テレビの中継だとストライクゾーンが表示されるので、判定の後にストライクかボールかが可視化されましたよね。ボール1個分くらい外れているのを見たときもあります。

久美子 そうなのよ。だから「際どいところは振れないの?」とか聞くんだけど、ラーズ本人は、審判の判定とはチェイスしない、振り回されないようにしてると言っていました。ボール球に手を出さないのは彼の強みだから。

 まだ完全になりきれてるわけじゃないけど、ケガにしても、ストライク判定にしても、一喜一憂しないように、と最近心がけていて。ラーズの調子が上がらないときに栗山監督に言われたんです。「シーズンの終わり方が一番大切です」と。シーズンは長いんだし、本当にその通りだなと思います。

「親が子より熱心」はアメリカでもある

――久美子さんと話していていつも感じるのが「普通であること」なんです。ラーズ選手がWBCに選出されたときも、日本で親子ともに人気者になっても、地に足をつけた“一般の人”でいられることに強さを感じます。

久美子 そもそもラーズがプロ野球選手になったことも驚きだから。毎日子育てに追われていたらいつの間にかなっていた感じで。こっちでよく、小さい子持ちのアメリカ人から質問されるんです。「どうすればヌートバー選手のようなメジャーリーガーを生み出せるのか」「小さい頃、どんな習い事や練習をやっていたのか」と。

――そういう時、久美子さんはどのように答えるんですか。

久美子 本当になにも特別なことをやらせてないから、「子どもがやりたいことをできる限りやらせてあげて」としか言えないんです。でも、聞いてくる親御さんは「野球選手にさせたい」って気持ちがものすごく強いのよ。『巨人の星』みたいな世界ってアメリカにもあるから。だけど、そんな風に子どもの未来を最初から決めつけないで、いろんなスポーツをさせてあげたほうがいいって思うんだけどね。親が子より熱心になってしまう……みたいなケースはアメリカにもあるんです。

【次ページ】 久美子さんに聞く“次のWBC”「前回が最高だったから…」

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