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プロ野球PRESSBACK NUMBER
「あのタイプは大成しない」野球界の“通説”を覆した田宮裕涼(ゆあ)「プロは無理だぞ、諦めろ」から日本ハム入りを叶えた“最後の夏”の大逆転劇
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph bySANKEI SHIMBUN
posted2024/07/23 11:04
成田高時代の田宮裕涼。当時から“愛されキャラ”だったという
岩舘コーチと田宮は入団以来、毎年1月3日の早朝から顔を合わせる。二人の原点でもある成田高のお膝元である成田山新勝寺を訪れ、1年の始まりの日に揃って祈願する。チャンスをものにしてスターダムに駆け上がっていく後輩の姿は頼もしく映る一方で、活躍しても変わらない素顔を微笑ましく感じている。
「大成しない」ジンクスを破って
「昔から続けてきたことを今も地道にやり続けているし、周りの人との繋がりや縁をすごく大事にする。穏やかだけど芯は強い。それって本当にいいことですよね。最後の夏、打席内での集中力、目力、オーラを感じたのが印象的でした。同じものを今、一軍の試合でも感じる。愛されキャラの裕涼が、打席では変身する姿もファンの人には楽しんで見てもらいたいです」
かつては「大成しない」と言われた『足の速い左打ちのキャッチャー』の“通説”を打ち破り、捕手として活躍を続けて欲しいというのも二人の共通した願いだ。
「新しいキャッチャー像を」
「プロで盗塁できるレベルのキャッチャーって他にはいない。新しいモデルになるかもしれませんね」と岩舘コーチ。田宮の活躍を遠くから祈る尾島監督も、同じ願いを口にする。
「僕は田宮が守っている時の献身的な姿を見るのが本当に嬉しいんです。最後にウイニングボールを持ってピッチャーのところに駆け寄っていく姿なんか可愛いでしょ(笑)。ピッチャーの方から『田宮がよくリードしてくれました』という言葉を聞くと嬉しいし、安心するんです。新しいキャッチャー像を確立して欲しい。今後出てくる選手が『田宮タイプだよね』って言われるぐらいになったら凄いですよね」
縁を引き寄せ、運命を切り拓いていく“愛されキャラ”の未来を、二人は楽しみに見守っている。
〈前編も公開中です〉