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〈球宴出場〉大ブレークの“愛され捕手”日本ハム・田宮裕涼が涙した日「たとえ二塁に届かなくても…」あえて直さなかった「ゆあビーム」の原点
posted2024/07/23 11:03
text by
佐藤春佳Haruka Sato
photograph by
JIJI PRESS
田宮の母校・成田高校の職員室では最近、その活躍の話題が挨拶がわりになっているのだという。
「みんな喜んでいるんですよ。『調子が上がってきたね』、『昨日も打ったね』って。本当に“愛されキャラ”です。教員や同級生、先輩、後輩、誰も彼を悪く言う人はいないですから」
そう話すのは田宮の恩師である野球部の尾島監督だ。
出場31試合から一気にブレーク
「僕は喜んでいるというよりは、本当にホッとしているんです。ここ数年は毎年オフになると契約更改のニュースを必死に探していました。ああ今年も田宮は契約してもらったか、って。年が明けたら明けたで、あいつは大丈夫か、怪我なくやっているかと、ただただ心配でした」
昨シーズンまで、一軍出場は計31試合。まだ20代前半とはいえ、ドラフト6位入団の高卒選手にとってその数字は決して安心できるものではない。プロ6年目の今シーズン、初めて開幕一軍入り。いきなり開幕マスクを被って2安打の活躍を見せると、新庄剛志監督の信頼を勝ち取り一気にスターダムに乗った。規定打席は未到達ながら3割超の打率をキープしオールスターにも選出された24歳は、今やファイターズの顔とも言える存在だ。
笑顔で心を掴む“愛されキャラ”
田宮の担当スカウトだった岩舘コーチも、その活躍を喜びながら胸を撫で下ろしている。
「開幕前は『なんとか頑張って一軍に残り続けろよ』、と伝えていましたが、流石にここまで活躍するとは……。嬉しい驚きです。彼は本当に“持っている”んですよ。運があると言うよりは、いい縁や人を自然と呼び寄せるような魅力のある選手だと思います」
『ゆあ』の名前の響き通り、柔和な笑顔で人の心を掴む“愛されキャラ”。その原点である成田高での青春時代はどのようなものだったのか−−。