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「何百万円のボーナスを捨てて、教師になるなんてお前バカか?」高校野球が好きすぎる東大エリート…“甲子園予選”で実現した「東大卒監督vs東大卒監督」 

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沼澤典史

沼澤典史Norifumi Numazawa

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posted2024/07/22 11:00

「何百万円のボーナスを捨てて、教師になるなんてお前バカか?」高校野球が好きすぎる東大エリート…“甲子園予選”で実現した「東大卒監督vs東大卒監督」<Number Web>

東東京大会1回戦の開成高校vs駿台学園高校。東大卒監督vs東大卒監督の対決となった

 実は駿台学園中学部の軟式野球部は全国屈指の強豪校だ。主力メンバーは高校進学を機に二松学舎などの強豪校に進むが、控えメンバーが内部進学してくるケースもある。彼らは三角の指導のもと、高校では主力メンバーとして活躍している。

「キャプテンの片野壮一郎、キャッチャーの渡部素直、4番の町田響はそれぞれ駿台中では控えでしたが、見事に中心選手に成長しました。また、駿台中出身ではありませんが、エースの川口琉玖は5月に父親を亡くしましたが、それを乗り越え、チーム内で一番成長しています。彼は今年のチームを象徴する選手です」

 一方の青木は「勝敗はバッティングの奮起次第」と話していた。

「うちはシード校と渡り合えるレベルのチーム作りを目指しています。駿台学園さんはシード校レベルだと思いますので、初戦からその真価が問われる。打線が奮起してくれれば勝ち目はありますが、うちは5点以上、取れなければ勝負にはならないでしょう」

 開成は昨年まで2年連続で4回戦進出を果たしているものの、「そこまで手応えはなく、打撃の調子が夏に上がったというのが要因」(青木)というほど開成の夏はバッティングにかかっている。

 ちなみに、開成と駿台は度々練習試合を行なっている。両校に埼玉の大宮高校を加えての座組みだが、大宮の監督も東大野球部OBだ。

「東大野球部のOBは卒業後、野球の第一線を退く人が多い。OBで野球に携わる人が増えれば、東大野球部のレベルの底上げにつながると感じています。東大以外の六大学各校はOB監督同士の試合が全国でありますからね。今回の対戦を通して、もっとOBが野球に携わってほしいというメッセージを伝えたいんです」(青木)

東大OB対決の結果は?

 さて、練習試合では、ほとんど駿台が勝利しているそうだが、今回はどのような展開を見せたのだろうか。

 試合当日、小雨が降りしきるJPアセットスタジアム江戸川のマウンドに最初に登ったのは、駿台のエースナンバーを背負う川口。中日ドラゴンズで一時代を築いたセットアッパーの浅尾拓也を彷彿とさせる川口は、球威ある直球と変化球を織り交ぜ、初回の開成打線を3人で封じる。

【次ページ】 東大OB対決の結果は?

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