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「足首がひどく腫れて…」メッシ涙も依存脱却アルゼンチン、“悲惨な弱さ”のブラジル…なぜ「3年前は真逆」南米2強の明暗が反転したか
posted2024/07/20 11:01
text by
沢田啓明Hiroaki Sawada
photograph by
Buda Mendes/Getty Images
先月37歳になったリオネル・メッシ(インテル・マイアミ)を擁する世界王者アルゼンチンが、大黒柱の負傷を乗り越えて南米王者に輝いた。
右足首に重傷を負ったメッシに仲間が奮い立った
14日にマイアミで行なわれたコパ・アメリカ(南米選手権)決勝コロンビア戦。メッシは前半36分に左足でクロスを上げようと右足を踏み込んだ際に足首を捻り、後半18分、相手ボールを追っていて再び右足を痛め、ピッチを去った。
ひどく腫れた足首周辺の痛みのためではなく、プレーを続行できなかった悔しさから、ベンチで大粒の涙を流す。世界年間最優秀選手に8度選ばれたレジェンドのこの姿に、チームメイトが奮い立たないはずがない。
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代わりに入ったFWニコラス・ゴンサレス(フィオレンティーナ)が危険なシュートを連発。0-0のままで延長戦に突入したが、後半7分、MFロドリゴ・デ・パウル(アトレティコ・マドリー)が中盤でボールを奪い取ると、MFレアンドロ・パレーデス(ローマ)が見事なスルーパス。FWラウタロ・マルティネス(インテル)が右足で蹴り込んだ。
ピッチにはいなくとも、メッシの存在がチームにとって大きな力となっていた。
この大会のアルゼンチンは、堅守のチームだった。6試合戦って5勝1分で、得点9、失点はわずか1だった。
グループステージ(GS)初戦でカナダを2-0で下すと、チリ戦でも1-0。この試合でメッシが右足の内転筋を痛めて続くペルー戦は欠場したが、ラウタロの2得点で勝ち切った。
しかし、準々決勝のエクアドル戦では苦しんだ。相手はパワフルな選手を揃え、反則を含む激しいプレーで王者に挑んできた。前半35分、右CKを頭でつないでCBリサンドロ・マルティネス(マンチェスター・ユナイテッド)が頭で決めて先制したが、後半アディショナルタイムに追いつかれてしまう。
勝負はPK戦に持ち込まれ、アルゼンチンは1人目のメッシがゴール正面へ「パネンカ」(ループシュート)を試みたが、キックが少し浮いてバーに弾かれた。このときが、この大会における最大のピンチだった。
アルゼンチンは背番号10に頼りきりではなかった
とはいえ、アルゼンチンは背番号10に頼りきりのチームではなかった。