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「大谷翔平にもっとも打たれた投手」元オリックス東明大貴35歳はなぜ“野球から離れた”のか? リクナビで就活、同僚は「マジメなヤツなんですよ」

posted2024/07/18 11:21

 
「大谷翔平にもっとも打たれた投手」元オリックス東明大貴35歳はなぜ“野球から離れた”のか? リクナビで就活、同僚は「マジメなヤツなんですよ」<Number Web> photograph by Shigeki Yamamoto

現在は不動産会社でサラリーマンとして働く元オリックスの東明大貴(35歳)。大谷翔平との対戦を懐かしそうに振り返ってくれた

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酒井俊作

酒井俊作Shunsaku Sakai

PROFILE

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Shigeki Yamamoto

2015年に二桁勝利をあげるなど、オリックスの先発ローテーションの一員として活躍した東明大貴。NPB時代の大谷翔平と幾度も対戦し、「もっともホームランを打たれた投手」でもある東明は、現役引退後、不動産会社のサラリーマンとして生きる道を選んだ。現役時代の不安と危機感、ゼロからの就職活動、野球を通じて手にした確かなもの――知られざるセカンドキャリアに迫った。(全2回の2回目/前編へ)

「すげえ…」客席で呆気にとられた“WBCでの特大弾”

 かつてオリックスの投手だった東明大貴はサラリーマンになっても、相変わらず「大谷翔平のホームラン」とは無縁でいられなかった。2023年の春、会社の同僚たちと東京ドームを訪れ、ワールドベースボールクラシックの日本対オーストラリア戦を観戦した。

 衝撃の光景を目の当たりにしたのは、プレーボール直後だった。1回無死一、二塁。大谷が左投手のスライダーをすくい上げると、自らの顔が映る広告看板めがけて右翼スタンドへ。目の前では先制3ランを放った大谷が悠然とダイヤモンドを駆けている。客席で見ていた東明は呆気にとられるしかなかった。

「いやあ、すげえ……。それだけでした」

戦力外通告から1年、東明大貴が営業マンになるまで

 東明は日本のプロ野球でだれよりも大谷に打たれた男だった。NPBの投手で最多となる3本のアーチを浴び、とりわけ、この東京ドームで16年に許した一発は二軍降格の憂き目にあった深い傷となっていた。この年は1勝10敗に終わり、オフに右ひじの手術に踏み切った。17年夏に再びメスを入れたが、球威を取り戻せなかった。20年に戦力外になると現役を退き、岐阜の実家に帰っていた。

 サラリーマンに転身したのは22年1月である。城北不動産に入社し、いまはグループ会社のグランイーズ社の営業マンとして働く。しわひとつない水色のワイシャツに生真面目さが表れており、かつて勝負の世界に生きていたとは思えないほど、物腰も柔らかい。

「いま、やっているのは、新しくお家を建てる用地を探すことです。戸建てがメーンになります」

 建売用地を買い取り、一戸建て住宅を求めている顧客に提供するのがおもな業務で、自らが手がけた土地に建った新築の住宅を見に出かける。通勤中や仕事が終わった夜は、国家資格である宅地建物取引士の試験勉強もしているという。

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