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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「同じ階級の強い人は全員倒す」那須川天心25歳が語った壮大なビジョン…“井上尚弥vsネリ”から刺激も「東京ドームに立つことが目的じゃない」
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph byKiichi Matsumoto
posted2024/07/17 11:04
4人の日本人世界王者が君臨する“バンタム級黄金時代”にあって、25歳の那須川天心はいかなる野心を抱いているのか
ハイレベルな相手とのスパーリングが“実戦経験”に
7月20日に両国国技館で行われるプロ4戦目は、世界のベルトだけでなく「いつかの東京ドーム」に向けての試金石となるのか。今回、天心と対峙するボクサーはジョナサン・ロドリゲス(米国)。現在WBA世界バンタム級4位に位置し、元WBA世界スーパーフライ級王者カリド・ヤファイ(英国)を初回KOで下すなど実績十分なボクサーだ。
デビュー戦は日本ランカー、2戦目は海外のナショナル王者、3戦目は世界ランカー。そして4戦目は世界のトップランカー。肩書きだけを比較しても、天心がステップアップするにつれ、ひとつずつグレードが上の対戦相手を用意されているのがわかる。
ロドリゲス戦のため、帝拳ジムはメキシコからふたりのスパーリングパートナー、WBO世界バンタム級3位のクリスチャン・ヒメネスとWBC世界スーパーバンタム級19位のヘスス・アレチガを招聘した。天心は「ふたりとも経験値の高いボクサー」と称賛する。
「いろいろなテクニックを使ってくる。そこは惑わされないように、しっかり自分の動きをして、できることを意識しながらやっています」
ふたつの拳だけで勝負を争うボクシングは、攻撃方法が限られる分だけフェイントも多種多様だ。天心は「ランキングが高くなればなるほどそのスキルは高い」と証言する。
「地域団体のランカーくらいだと、頭を使わないでガンガン入ってくるだけのタイプが多い。勢いと馬力勝負だけ、みたいな。でも、どの階級を見てもそういうスタイルでやっている世界チャンピオンはいない。みんなしっかり自分の距離があって、自分のタイミングで仕掛けてくるし、すごく頭を使っている。自分も(ヒメネスやアレチガとやるときには)頭を使うボクシングができるので、いろいろ経験できる。その方がやりやすいですし」
やりやすい?
「いっぱい頭を使って、入り方から考えるから。その間合いも楽しめるというか」
7月4日にはヒメネスを相手に実戦さながらの激しいスパーリングを公開した。肩慣らし程度ではなく、なぜそこまでやるのか。天心の解答は明解だ。