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ボクシングPRESSBACK NUMBER
「同じ階級の強い人は全員倒す」那須川天心25歳が語った壮大なビジョン…“井上尚弥vsネリ”から刺激も「東京ドームに立つことが目的じゃない」
posted2024/07/17 11:04
text by
布施鋼治Koji Fuse
photograph by
Kiichi Matsumoto
7月20日にプロボクシング4戦目を迎える那須川天心(帝拳)。かつてキックボクサーとして超満員の東京ドームのリングに立った男は、同舞台で行われた井上尚弥や武居由樹のビッグマッチを目撃して気持ちを新たにしていた。「同じ階級の強い人は全員倒す」――世間と戦いながら自分自身の“最高傑作”を追い求める25歳が、ボクサーとしての壮大なビジョンを語った。(全2回の2回目/前編へ)
「現場じゃないと、何がホンモノかわからない」
「関係ないっしょ、気持ちっしょ!」
これまで、壁にぶつかるたびに那須川天心はそう叫びながら自らを鼓舞し、時に仲間を勇気づけてきた。キックボクサーとしてタイトル挑戦に王手をかけるまでに成長した実弟・那須川龍心など、この言葉に何度励まされたことか。
5月上旬、天心はこのフレーズを題名にした個展を開いた。現役のプロボクサー、いや、格闘家を含めて、この手の個展を開くというのはほとんど記憶にないが、開催の意図はどこにあったのだろうか。
「(ファンと)深いところで繋がれれば、という思いがあったんですよ。すでに認知はされていると思うので、もっと自分のマインドを伝える場がほしかった」
より深く伝えたかったということ?
「そうです。時代的にはSNSが盛んで、会わなくても触れ合えるという状況の中で、もう一回そこを見直そうよ、と。ボクシングを始めてからはずっとそのテーマでやっています。現場じゃないと、何がホンモノかわからないと思うので。やっぱり本人の口から発した言葉が一番大事ということを伝えたいというか、会って話さないとわからないじゃないですか」
昨年、天心は地元・松戸市のお祭りで輪投げや焼きそばの屋台を出した。実際に調理も行い、ファンの長蛇の列に休むことなく対応した。それだけ“距離を縮めることで生まれるリアルな熱”を重視していたのだ。