大型選手ではあるが早熟では無い。それでいて不器用な感も無い。ロッテ・福澤洋一スカウトは「投げることにも打つことにも、全てに将来性を感じます。ドラフト3位以上は間違いないでしょう」と、上位指名級の素材であることに太鼓判を押した。

　そんな大注目の中で始まった西東京大会1回戦の都立富士森高戦は予想外の展開となった。1回表に3番の森井はセンターフライに終わったものの、相手失策により幸先良く先制した桐朋高。だが、1回裏に先発投手の乱調から一挙5失点し、たまらず遊撃手の森井がマウンドへ。しかしバント安打を許すと、続く打者にはレフト前安打を浴びて、さらに2点を失った。

　その後はキレの良い直球を生かした投球で抑えていくものの初回の7失点はあまりにも大きかった。森井はバットで返そうとしたが、2・3打席もセンターフライ。それぞれ5.36秒、6.03秒、6.11秒と滞空時間の長さに出色のものは感じさせたものの無安打。

ポテンシャルの片鱗は見せたものの、無安打に終わる ©︎Yu Takagi

進路は「NPBかアメリカの大学」

　5回にも1点を失うと6回からは遊撃手に戻った。そして7回、味方の悪送球により7点差がつき、2対9の7回コールド負けが決定。森井は涙を流し、そのことを報道陣に問われると「1年夏から試合に出させてもらって、短いような気もするのですが、色々なことがあって長い2年半で、そのことが頭の中で蘇ってきました」と、感慨深く振り返った。だがすぐさま「これから次のステージに向けて、トレーニングしないといけないと思うので、ここがまたスタートラインだと思います」と前を向いた。

　進学校ではあるが現時点での日本の大学への進学は選択肢に無い。

　見つめる「次のステージ」は、NPBもしくはアメリカの大学への進学だ。現時点で志望は「五分五分」と明かし、今夏にはアメリカへ見学に行くことも示唆した。佐々木麟太郎（スタンフォード大）らが切り拓いている道ではあるが、これもまた異例の選択肢だ。根源には幼い頃からの夢がある。

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