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「交渉能力、監督のコネだ」日本はOAなし、アルゼンチンは“W杯優勝トリオ招集”ブラジル人記者が斬る背景「五輪メダルの可能性は…」

posted2024/07/10 17:01

 
「交渉能力、監督のコネだ」日本はOAなし、アルゼンチンは“W杯優勝トリオ招集”ブラジル人記者が斬る背景「五輪メダルの可能性は…」<Number Web> photograph by Kiichi Matsumoto/JMPA

カタールW杯優勝メンバーのアルバレス。アルゼンチン代表は本気モードでパリ五輪金メダルを狙いに来ている

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沢田啓明

沢田啓明Hiroaki Sawada

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Kiichi Matsumoto/JMPA

 サッカーパリ五輪代表の18人の人選が話題になっている。オーバーエイジ、この世代の選手もさらにはこの世代の有力選手数人も招集外となった状況を日本通のブラジル人記者はどう見たか。各国のメンバー状況とともに考察した。(全2回)

 フットボールの世界では、五輪は基本的に「23歳以下の年齢別大会であり、24歳以上の選手(オーバーエージ=OA)を最多で3人を含むことができる」という微妙な位置づけの大会である。

 なおかつ、OAであろうと23歳以下の選手であろうと、クラブには選手を派遣する義務がない。このため、参加国の協会は招集したい選手が所属するクラブと交渉し、その了承を得て初めて招集することができる。

ロンドン五輪以降のオーバーエイジと成績を見てみると

 2008年北京五輪以来16年ぶりに、パリ五輪の日本代表にはOAがいない。

 ちなみに、2008年大会ではMF本田圭佑、MF香川真司、左SB長友佑都、CB吉田麻也、FW岡崎慎司、右SB内田篤人らその後A代表で中心選手として活躍する若手の逸材を擁しながら、3戦全敗でグループステージ(GS)最下位に沈んだ。

 そして、以後の五輪で日本が招集したOA選手とチーム成績は以下の通りである。

 2012年ロンドン五輪:2人。DF吉田麻也、DF徳永悠平。GSを首位で突破し、4位。
 2016年リオ五輪:3人。CF興梠慎三 、DF塩谷司 、DF藤春廣輝。GSで1勝1分1敗の3位で敗退。
 2021年東京五輪:3人。CB吉田、MF遠藤航、右SB酒井宏樹。GSを3戦全勝の首位で突破し、4位。

 パリ五輪に出場する16カ国のうち、この記事を書いている7月初めの時点で代表メンバーを発表したOA招集人数は以下の通り。

 3人:9カ国(フランス、アルゼンチン、モロッコ、イラク、アメリカ、イスラエル、ドミニカ共和国、ギニア、ウズベキスタン)
 2人:2カ国(スペイン、エジプト)
 1人:2カ国(マリ、ウクライナ)
 0人:3カ国(日本、パラグアイ、ニュージーランド)

 13カ国(71%)がOSを招集しており、1人も招集していないのは日本を含む3カ国(19%)だけ。8カ国(50%)がリミットの3人を招集しており、その多くが欧州クラブに所属する。

 日本と同組のイスラエルも3人招集しており、彼らの所属クラブはバイエルン(ドイツ)、ヘント(ベルギー)、マッカビ・ハイファ(イスラエル)である。

アルゼンチンはW杯優勝メンバー3人を呼び寄せた

 参加16カ国の中で、フットボールの世界の常識ではまず考えられないレベルのOA選手招集に成功した国がある。

 2022年ワールドカップ(W杯)優勝国で、五輪でも2004年大会と2008年大会を制覇しているアルゼンチンだ。

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