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「藤井さんが視界に戻ってきました」渡辺明が語る藤井聡太との王位戦7番勝負…正直な感想「思ったよりも早くタイトル戦の舞台に」
text by
片山良三Ryozo Katayama
photograph byWataru Sato
posted2024/07/11 17:01
タイトルを計31期獲得している渡辺明。王位戦を前にNumberのインタビューに応じた
「今回の王位戦が展開に恵まれたのは事実だと思うんです。紅白のリーグの組分けや先手番の回数、4勝1敗でもプレーオフにならなかったこと。最後の挑決(斎藤慎太郎八段戦)で先手番を得たこともそうでしたね。王位戦だけを特に狙ってたわけでもなかったんですが、3月、4月の5連敗から明けて、5月に入って王位戦に星が固まったっていう……なんていうんですかね、その辺のサイクルが結果的に良かったかなと。3月、4月の連敗で、もちろんテンションは下がってたんですけど、状態が悪いとは思っていなかった。というのも、年明けぐらいから研究に割く時間や内容がいい形で一定していたんです。さぼっていたわけではなく(笑)、日々やってきたことに手応えを感じる中での5連敗というのは自分でもわかりませんでした」
永瀬拓矢、伊藤匠から刺激をもらった。
――SNSの投稿で「序盤は悪くなってない」とも書かれていました。自己分析をされて、中盤以降に問題があったということでしたか?
「そうですね。この1年くらい、中終盤での逆転負けは上位では多い方だと思います。トッププロを比較すると、終盤が明らかに下の方に来ているという実感もありますしね。逆に、序中盤で大きく悪くしてしまうケースは減っているわけです。これからはそこを踏まえた上で戦っていかなければいけないでしょうね。おそらく年齢の関係ですが、計算力がちょっと落ちてきているかなとは感じます。大体勝ちかな、っていうところから負けることが多くなったのは、終盤の計算スピードが落ちてるっていうことだと思うんですよね」
――研究に割く時間と内容がいい形で一定してきたと先ほどおっしゃいました。
「この1年で量は少し増えたかなと思います。“研究に追いつけない”って毎回言っているような気がしますけど(笑)、それを実感する出来事があったので、仕方なしに研究量は増えてきたかな、と。永瀬くん(拓矢九段)と伊藤匠くん(七段)と、ABEMAの『地域対抗戦』で一緒にやる機会があったんですけど、同じ控え室で彼らと将棋を見てたのが、すごい刺激になりました。知識がもう、すごいんです」
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