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藤井聡太21歳は永世棋聖、羽生善治25歳は畠田理恵さんと結婚…「藤井・羽生ブームと忙殺日程の失冠」“七冠の天才棋士”今と28年前を比較

posted2024/07/06 06:00

 
藤井聡太21歳は永世棋聖、羽生善治25歳は畠田理恵さんと結婚…「藤井・羽生ブームと忙殺日程の失冠」“七冠の天才棋士”今と28年前を比較<Number Web> photograph by Keiji Ishikawa/JIJI PRESS

藤井聡太21歳と羽生善治25歳。「七冠」が刻む世間的な「将棋」へのイメージアップはやはり大きい

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田丸昇

田丸昇Noboru Tamaru

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Keiji Ishikawa/JIJI PRESS

 藤井聡太叡王(21)に伊藤匠七段(21)が挑戦した第9期叡王戦五番勝負の第5局は6月20日に行われ、伊藤が激闘を制して3勝2敗とし、初タイトルの叡王を獲得した。藤井はタイトル戦で22連覇していたが、初めて敗退して七冠(竜王・名人・王位・王座・棋王・棋聖・王将)に後退した。昨年10月11日に王座を獲得した後、八冠制覇は254日で終わった。藤井のタイトル独占が長く続くと思われていた中で、衝撃の結果となった。

 思い起こすのは、1996年2月14日に羽生善治七冠が誕生した後、7月30日に棋聖を失って七冠制覇は167日で終わったことだ。羽生も同じくタイトル独占が長く続くと思われていた。羽生が七冠制覇を達成したときの盛り上がり、その一角を失った状況を、藤井のケースと比較しながら田丸昇九段が解説する。【棋士の肩書は当時】

七冠に後退したが、藤井は永世棋聖の資格を取得

 今年の叡王戦で藤井叡王が伊藤七段に敗れた原因について、第一人者に課される様々な所用、技術面や精神面の問題、持ち時間の使い方、趣味(鉄道、チェスプロブレム)への傾倒など、いろいろな見方が取り沙汰された。

 とはいえ実際には、信念を持って高みを目指してきた伊藤が、藤井との3回にわたるタイトル戦を通して実力を大きく伸ばした結果だと思う。

 藤井は八冠陥落について「時間の問題と思っていました。八冠制覇はまったく考えていません。まずは実力をつけたい」と語った。

 それから11日後の7月1日。ヒューリック杯第95期棋聖戦五番勝負第3局で藤井棋聖は挑戦者の山崎隆之八段(43)を3連勝で下した。藤井は棋聖5連覇を達成し、21歳11カ月の最年少記録で自身初の永世称号(永世棋聖)の資格を取得した。

 藤井七冠は終局後の記者会見でこのように語っている。

「王位戦(第1局は7月6日、7日)も永世称号がかかるシリーズとなります。永世称号を増やすのは長期的なことなので、それほど意識はしません。一つ一つ積み上げていった先に、見えてくればいいなと思っています」

 藤井は八冠再制覇を考えてないというが――羽生善治九段が2017年に達成した「永世七冠」の偉業を視野に入れていれば、八冠を達成する日はいずれ来るだろう。

「羽生七冠誕生」の96年はどんなブームだったか

 時はさかのぼって1996年2月14日17時6分。谷川浩司王将(当時33。以下すべて同じ)に羽生六冠(25)が挑戦した第45期王将戦七番勝負第4局で、羽生が勝って谷川に4連勝した。その結果、羽生は前人未到の七冠制覇を達成した。

【次ページ】 将棋界が活気づいた「羽生効果と藤井効果」

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