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野茂英雄に米スター選手が直接伝えた感謝「メジャーリーグはキミに救われた」…負けても称賛されたプレーオフの先発 「トルネード旋風」は何を残したか

posted2024/07/11 11:06

 
野茂英雄に米スター選手が直接伝えた感謝「メジャーリーグはキミに救われた」…負けても称賛されたプレーオフの先発 「トルネード旋風」は何を残したか<Number Web> photograph by Koji Asakura

1995年夏からアメリカにて野茂英雄を取材した記者が振り返る、メジャー1年目に野茂が得たもの、そして後世への影響とは?

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喜瀬雅則

喜瀬雅則Masanori Kise

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Koji Asakura

 野茂英雄の1995年シーズンを急きょ晩夏から取材することとなった、ひとりの大阪のスポーツ紙若手記者。現在も野球取材を続ける筆者が日米でトルネード旋風を巻き起こしたパイオニアの1年目プレーオフとその功績を振り返る。(全14回の第14回/初回から読む)

プレーオフ敗戦後、ラソーダは野茂に対し…

 ディビジョンシリーズの相手は、ナ・リーグ中地区優勝のシンシナティ・レッズ。5試合制で先に3勝すれば、次なるステージのリーグチャンピオンシップに進むことになる。

 発表された先発は、1戦目マルティネス、2戦目バルデス、3戦目が野茂だった。

「決まったよ。先にシンシナティに行って、待っていた方がいいんじゃない?」

 広報部長から、ジョーク交じりにこう告げられた。

 本拠地・ドジャースタジアムでの1、2戦目を落とし、後のない敵地での3戦目。しかし崖っぷちのチームを救うだけの力は、もう野茂には残っていなかった。

 3回、ロン・ガントに先制2ラン、続く4回にもブレット・ブーンにソロ本塁打を許すなど、5回までに3失点。6回にヒットを2本続けられたところで途中降板。レッズの勢いを止められず、ドジャースは3連敗。シリーズ敗退が決まった。

 野茂英雄の1995年が、ここで幕を閉じた。

「ノモは、まずまずだったよ。疲れだってあっただろう。その中で勝負したんだ。今シーズン、これだけやってくれたじゃないか」

 悔しさを押し隠し、ラソーダはまず、野茂の1995年を褒め上げた。

楽しかったよ、ノモ

 メジャー1年目。6月に6連勝、球宴の先発投手を務め、地区優勝を決める“胴上げ投手”にもなった。13勝という数字は、文句なしのエース級の働きだ。野茂がいなければ、ドジャースの優勝はなかっただろう。

「終わったばかりなんで、感想としては悔しいです。でも、今年はメジャーに上がって、やろうと思って、そこでプレーできた。幸せです」

 野茂が、最後の会見に臨んでいる時、思わぬ来客が現れた。

【次ページ】 スター選手が野茂に感謝した意味

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