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Mリーグ“戦力外通告”から1年「もしまたチャンスがもらえるなら…」重圧に悩んだ大舞台に、それでも丸山奏子が“感謝する理由” 

text by

曹宇鉉

曹宇鉉Uhyon Cho

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photograph byTakuya Sugiyama

posted2024/06/27 11:01

Mリーグ“戦力外通告”から1年「もしまたチャンスがもらえるなら…」重圧に悩んだ大舞台に、それでも丸山奏子が“感謝する理由”<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

Mリーグの舞台を降りた後も、精力的に活動の場を広げている丸山奏子

麻雀を始めたころのような気持ちで

――今年は3月の『てんパイクイーン』で優勝し、4月には『麻雀最強戦』のファイナル進出を決めました。さらに最高位戦のリーグでも安定した成績を収めています。麻雀プロとしての成長は感じていますか?

丸山 いやいや、まだまだです(笑)。でも、Mリーグの舞台の重圧がすごすぎて、いくらか心臓に毛が生えたんだろうな、と感じることはありますね。短期決戦はその日の運もあるのでさておき、リーグ戦で一喜一憂しなくなったというか。最悪な結果が出たときも焦らずに「麻雀にはいい偶然も悪い偶然もあるし、とれる順位を狙おう」と考えることができるようになってきた気がします。それも、麻雀を始めたころのような「楽しんでやろう」という純粋な気持ちで。

――麻雀を始めた大学生のころ、丸山プロは通っていた女子大や女子寮で麻雀の“布教活動”に勤しんでいたそうですね。

丸山 そうなんです。でも全然だれにも刺さらなかった(笑)。寮の部屋に後輩を集合させて「こうやって形を作るんだよ」って教えると、みんな優しいからそのときは付き合ってくれるんですけど、2回目が開催されることはなく……。仕方ないので、ひとりで盲牌する遊びをやっていました(笑)。ほんと、寂しい記憶です。

――それは寂しい(笑)。たしかに若い女性にとって、麻雀はなかなかハードルが高い印象があります。とはいえ、現在は丸山プロが講師を務める女性向けの麻雀教室が盛況だと伺いました。

麻雀界の女性参入「10年前とは明らかに空気が違う」

丸山 大学生くらいから50代くらいの方まで、多いときは2、30人いらっしゃいます。ルールや点数計算を覚えたいという方もいれば、より上達したいという方までいろいろなニーズがあるので、生徒さんが求めるテーマに寄り添えるように心がけてやっています。昔は麻雀を打つ女性ってほぼプロの方しか見当たらなくて、たまにふつうの麻雀愛好家の人を見つけると「いたー!」って感動を覚えてしまうくらいだったんですが、最近は本当に変わりました。Mリーグはもちろん、ゲームやYouTuberの影響も大きい気がします。私が“布教”に失敗した10年前とは明らかに空気が違いますね(笑)。

――若い女性の参入や一般層への浸透ということでいうと、丸山プロや岡田紗佳プロは象徴的な存在かもしれませんね。最後に、丸山プロが麻雀を通じて成し遂げたいことを教えていただけますか?

丸山 ひとつは、プロ試験を受けるときから立てていた目標である女流最高位を獲ることです。もうひとつ、いま仕事として携わっている麻雀界で叶えたい目標としては、年齢や性別の垣根なく、もっと多くの人に麻雀を楽しんでもらえるようにしたい、ということ。本来、麻雀は誰でも遊べるものなんですけど、子供の場合、見る機会はあってもなかなか実際に打てる環境がないんですよ。メディアへの露出だったり、麻雀教室だったり、いろいろな角度から麻雀を広げるためのアプローチをしていきたいですね。それが、自分の人生を彩ってくれた麻雀への恩返しになると思うので。

《インタビュー第1回も公開中です》

(撮影=杉山拓也)

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