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球体とリズムBACK NUMBER
“EUROで見納め”引退クロース34歳は今なお「パス成功率99%、逆襲ドイツの心臓」16歳ヤマルに20歳ベリンガムも…必見のV候補3カ国
text by
井川洋一Yoichi Igawa
photograph bypicture alliance/Getty Images
posted2024/06/22 17:00
ドイツの心臓トニ・クロース。歴戦の仲間であるノイアー、ミュラーとともにドイツ復権で輝かしいキャリアを閉じられるか
「夢のようなデビュー」
翌日の『ムンド・デポルティボ』紙は、主要大会初出場のヤマルにフォーカスし、カルバハルと力強く喜ぶ二人の写真を一面に載せ、そんな見出しを打った。
16歳338日でEURO史上最年少出場記録を更新した彼は、本大会前にプレーした直近のフレンドリーマッチの2試合で計3アシストをマークしているのだから、そこまで驚くことではないかもしれない。それでもあの落ち着きとクオリティーは到底、10代半ばの選手らしからぬものだ。
ロビン・ル・ノルマンが最終ラインでエレガントに身体を張り、 ロドリ、ペドリ、ルイスの大会屈指の中盤がリズムを刻み、ヤマルとニコ・ウィリアムスから成る若き褐色の両翼が敵陣を切り裂く──過去に唯一連覇を遂げたラ・ロハ(スペイン代表の呼称)が、イタリアとの第2戦も1-0でモノにし、4度目の欧州の頂点へ向け、申し分のないスタートを切った。
《イングランド》モダンなスリーライオンズの新エース
★グループC★
セルビア 0-1 イングランド
(イングランド:ジュード・ベリンガム 13分)
1年目のレアル・マドリーでいきなりチャンピオンズリーグとラ・リーガの2冠を果たしたジュード・ベリンガム、同じくバイエルン・ミュンヘンでのデビューシーズンにブンデスリーガ得点王となったハリー・ケイン、下部組織から在籍するマンチェスター・シティで前人未到のプレミアリーグ4連覇を遂げてシーズン最優秀選手に輝いたフィル・フォデン──。
欧州のトップクラブで主軸を担う選手たちばかりで構成されるイングランドの攻撃陣は、今大会随一の陣容と言える。各ビッグクラブでモダンな戦術を身につけているスリーライオンズの面々は、ショートパスを主体としたアタッキングスタイルで、初戦の開始からセルビアを圧倒した。
そして13分、ブカヨ・サカのクロスが相手に当たってふわりと浮かんだところに、20歳のベリンガムがタイミングよく走り込み、頭で豪快にネットを揺らして先制。一息にスターダムを駆け上がるバーミンガム出身の異能は、初の代表の主要大会でも稀有な得点感覚を早々に見せつけた。
母国で光るのはケイン、ベリンガムだけでなく…
「信じられないほどに素晴らしい選手だ」と主将のケインは20歳のベリンガムについて英『BBC』に話した。