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「琴奈さんを嫌いって人に会ったことない」女子バレー林琴奈24歳の不思議な魅力とは? 高校時代の恩師「そんな選手がおってもええな、と諦めた」
posted2024/06/17 11:03
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
Volleyball World
「やってしまった……」
サーブレシーブの名手である林琴奈(JTマーヴェラス)が身をかわしながら見送ったカナダのサーブは、無情にもエンドラインの内側に落ちた。ボールを避けた勢いのまま仰向けに倒れ込んだ林は、痛恨の表情で天井を見つめた。
第5セット、14-16でゲームセット。
勝てばパリ五輪出場が決まる6月13日のネーションズリーグ・カナダ戦で、日本は1、2セット目を連取し王手をかけたが、その後3セットを奪われ逆転負けを喫した。
「試合の中で、足が動いていないなと自分でも思ってて。特に後半になると足が止まってしまうことが多かった」
林は試合後のミックスゾーンで言葉を絞り出していたが、心ここにあらずという様子だった。
吉報届くも「正直、しっくりは…」
試合には敗れたが、他会場の結果も踏まえて世界ランキングのポイント計算をした結果、日本の五輪出場が決まったと、翌日、国際バレーボール連盟(FIVB)から通達された。
選手たちは眞鍋政義監督からその朗報を伝えられたが、林はホッとしながらも、複雑な思いだったという。
「もちろん嬉しかったんですけど、やっぱりカナダ戦に勝って、ちゃんと決めたかったというのが正直なところだったので、しっくりはきていませんでした」
それでも次第に気持ちは変化していった。
「カナダ戦だけを見たら負けてしまったんですけど、振り返ってみると、今までのみんなの頑張りがこの結果につながった。チーム全員、(コートに)入ってる入ってない関係なく、勝ちに徹してきた選手、スタッフ全員のおかげだと思っているので、そこは本当に自信にしてオリンピックに行けるようにしたいなと思いました」