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「琴奈さんを嫌いって人に会ったことない」女子バレー林琴奈24歳の不思議な魅力とは? 高校時代の恩師「そんな選手がおってもええな、と諦めた」
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph byVolleyball World
posted2024/06/17 11:03
キャプテン古賀紗理那(左)と笑顔で写真に収まる林琴奈。攻守の貢献度が高く、眞鍋ジャパンのキーパーソンの一人
「林の時は、3年生のレギュラーが林ひとりで、あとはみんな下級生でした。当時からうまい子でしたけど、おもてに(リーダーシップを)表現できる子ではなかった。今のスタイルもそうですけど、ウワーッ!と盛り上げたりするんじゃなく、淡々と、ちゃんとやるべきことをやっていく。
でも僕も最初は『お前キャプテンやろ! もっとしゃべれ! 表現しろ!』と相当怒ったんですよ。でもそれがマイナスで、彼女には負担になってたんかなと。(高3の)夏のインターハイはトーナメント1回戦で敗退でした。『もっと表現しろ!』とか、できないのにやらせようとして、たぶんまいらせとったんやろうね、僕が。
『声を発しろ!』と言っても、出えへんもんは出えへん。だから、そうじゃないやつもおってええよな、プレーで見せるキャプテンがおってもええなって、考えるようになりました」
お決まりのキャプテン像に無理にはめ込もうとするのをやめると、林のプレーが見違えるように変わった。その後、秋の国体、1月の春高バレーで二冠を達成した。
「プレーがグワーッと上がってきて、林の奮起のおかげやなという印象がずっと残っています」と池条監督。
「琴奈さんを嫌いっていう人に出会ったことない」
いつも真面目で一生懸命。たまにちょっと抜けているところもあるが、それが周りの空気を明るくする愛されキャラだ。勝負の場で感情を大きく表に出さなくても、チームへの献身的な姿勢や人柄は、自然と人を惹き寄せる。
金蘭会高、JTでともにプレーしてきた1学年下の西川有喜はこう話していた。
「琴奈さんはあんな感じで、普段はちょっと大ボケな人だけど、『琴奈さんについていきたい』って、めっちゃ思わせてくれる人です。コートの中で張り切って声を出すとか、そういう感じじゃないけど、しっかり指示を出してくれるし、『琴奈さんのために頑張りたい』と思わせてくれるオーラがあります。琴奈さんのことを嫌いっていう人に出会ったことがないです」