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大谷翔平が“今の成績ペース”で狙えるのは三冠王でも連続本塁打王でもなく…ベッツやトラウトが達成済の大記録、さらに「過去5人だけの偉業」 

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広尾晃

広尾晃Kou Hiroo

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photograph byJayne Kamin-Oncea/Getty Images

posted2024/06/14 17:40

大谷翔平が“今の成績ペース”で狙えるのは三冠王でも連続本塁打王でもなく…ベッツやトラウトが達成済の大記録、さらに「過去5人だけの偉業」<Number Web> photograph by Jayne Kamin-Oncea/Getty Images

16、17号と2試合連続ホームランを放った大谷翔平。数々の偉業を成し遂げてきたからこそ期待したい「日本人メジャーリーガー初の大記録」とは

 大谷翔平は「30-30」を達成することになるのだ。

「30-30」とは30本塁打、30盗塁を1人の打者が同時に達成すること。

 MLBでは、打って走ってチームに貢献する身体能力の高い打者を高く評価する。「30-30」はタイトルでこそないが、過去に69例しかない栄誉である。

 過去の達成者は、そうそうたる顔ぶれ。ウィリー・メイズが2回(1956年36本40盗、1957年35本38盗)記録、ハンク・アーロン(1963年44本31盗)の名前もある。現役で言えばトラウト(2012年30本49盗)、ベッツ(2018年32本30盗)なども達成者だ。

 この記録が大きくクローズアップされたのは、ボビー・ボンズが69年に1回、70年代に4回、通算5回記録したのがきっかけではなかったかと思う。彼は「ミスター30-30」とよばれたが、その後、ボビーの息子のバリー・ボンズも父親に並ぶ最多の5回を記録している。

“40本塁打40盗塁”なら史上6度目の偉業

 なお「30-30」の上には「40-40」がある。これは1988年のホセ・カンセコ(42本40盗)、1996年のバリー・ボンズ(42本40盗)、1998年のアレックス・ロドリゲス(42本46盗)、2006年のソリアーノ(46本41盗)、2023年のロナルド・アクーニャJr.(41本73盗)の5例しかない。

 大谷はこのペースで打てば、40本塁打の可能性はかなり高い。盗塁のペースを上げれば史上6人目の「40-40」の可能性もあるだろう。

 なお「30-30」達成者は外野手が圧倒的に多く、続いて内野手となっている。捕手、投手、DHで記録した選手はいない。今年はDHに専念する大谷が記録すれば「史上初」となる。

「ちょっと待ってほしい、大谷翔平は3割をマークするのだから、『トリプルスリー』じゃないのか」

 というファンもいるだろう。確かにそうなのだが、MLBでは「トリプルスリー」はそれほど注目されない。それはなぜか。

 MLBではもともと安打は「野手がいないところに落ちた打球」であって運の要素が多い、と考える人が多い。だから「打率」をそれほど重視していない。

「トリプルスリー」はトラウトやベッツら29例だけ

 とはいえMLBでも「トリプルスリー」は珍しく――過去29例となる。

【次ページ】 「トリプルスリー」はトラウトやベッツら29例だけ

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