バレーボールPRESSBACK NUMBER
「コイツらすごくなるんだろうな…」石川祐希の代表デビューを知る永野健がしみじみ「笑顔かわいかったなー」“最強の仲間”を得たキャプテンの10年
posted2024/06/10 17:02
text by
米虫紀子Noriko Yonemushi
photograph by
AFLO SPORT
山本智大の両手に挟まれて、石川祐希の端正な顔がムギュッとゆがんだ。
6月8日に行われたネーションズリーグ・スロベニア戦の第4セット直前、コートに入ったエース石川にリベロの山本が近寄って、両手で顔をパンと挟み笑顔で何か言葉をかけた。
「ちょっと彼はフラストレーションが溜まっているのを感じたので、和ませる意味でも、『力抜いて頑張ろう』と言って、たたきました」と山本は笑って振り返る。
西田有志など他の選手も石川に声をかけていたが、試合後、石川は「4セット目に関しては、正直あまり覚えていないというか、あまり聞いてなかったというか……」と苦笑した。
「僕自身イライラしてしまっていたところがあったので。僕があんな状態だったので、気を使ってくれてるなというふうには感じましたし、ホントに、僕がこんなんじゃダメだなと、チームに迷惑かけてるなと思っていました」
絶対的な主将でも、こんな日はある
この日は、石川が少し早く入りすぎたのか、関田誠大のトスが浮いたのか、微妙にコンビが合わない場面があり、珍しく石川がブロックに捕まった。それでも要所で得点を奪い、サーブでも崩してチャンスにつなげていたが、本人としては到底納得のいく出来ではなかったのだろう。
絶対的な主将でも、こんな日はある。ましてやまだチームに合流して1週間だ。
それでも負けなかったことが何より大きい。しかも相手は今大会全勝だったスロベニアだ。
「他の西田選手、山本選手、山内(晶大)選手が中心になってチームをまとめてくれていたので、本当にブラジルラウンドで戦っていた仲間たちが、改めて頼もしいなと感じましたし、僕自身も今日に関しては仲間に助けられた試合でした」
石川は悔しさを漂わせながらも、素直に仲間に感謝した。