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話題を集めた給水補助、パリ五輪落選後の未来「東京の世界陸上を狙っていけたら」 女子マラソン・加世田梨花(25歳)が自然体で続ける成長

posted2024/06/16 11:03

 
話題を集めた給水補助、パリ五輪落選後の未来「東京の世界陸上を狙っていけたら」 女子マラソン・加世田梨花(25歳)が自然体で続ける成長<Number Web> photograph by Takuya Sugiyama

パリ五輪をあと一歩のところで逃した加世田梨花。その目線は、すでに未来を見据えていた

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小堀隆司

小堀隆司Takashi Kohori

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Takuya Sugiyama

パリ五輪の出場をあと一歩のところで逃した女子マラソンの加世田梨花(25歳)。名門・名城大をキャプテンとして引っ張り、ダイハツでマラソンと出会った彼女にも、トップランナーになるまでの紆余曲折があった。五輪選考レースを終えた加世田を訪ね、現在の思いを聞いた。《NumberWebインタビュー/全3回の最終回》

 名城大学で世代トップクラスに成長すると、自らの希望でダイハツへの入社を叶えた。数多くの勧誘を振り切って、あえて勧誘を受けなかったチームに入部を希望したのはこんな理由からだという。

「一つは、大学の頃からずっと憧れていた細田あいさん(現在はエディオン)がいたから。それとやっぱりマラソンが強い。実業団でマラソンをやりたいなって思ったときに、思い浮かんだチームがダイハツで、練習を見学したらすごく雰囲気が良かったんです。あとは親戚の前田彩里さんがいたことも大きかったですね」

 満を持して、実業団チームに加入。だが、入社半年後には、早くも辞表を出そうかというくらいに追い込まれた。

実業団入り前に体重が“7kg増加”

 その原因は、卒業を間近に控えた大学4年時にさかのぼる。すべての競技日程を終えたことで気が緩んだのか、走ることをやめて食べたいものを食べたいだけ食べた。すると、体重が7kgも増えていた。

「けっこう太って入ったこともあって、前半は頑張ったんですけど、夏にぜんぜん走れなくなったんです。それで大学の恩師にも辞めたいって伝えたり……。でも、いま振り返ったら、うまくいかないのは周りの環境のせいとか、練習が合わないとか、自分が頑張れていないのを見ようとしていなかった。私、けっこう定期的にメンタルが弱くなるんですけど、この時もまさにそうでした」

 秋の駅伝シーズンに入っても結果を残せずどん底にいた頃、コーチからある打診を受ける。

「マラソンを走ってみないか」

 気持ちをリセットしたかった加世田にとって、渡りに船と言えるひと言だった。

【次ページ】 「5000mなんてマラソンのたかが8分の1じゃないか」

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