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話題を集めた給水補助、パリ五輪落選後の未来「東京の世界陸上を狙っていけたら」 女子マラソン・加世田梨花(25歳)が自然体で続ける成長
text by
小堀隆司Takashi Kohori
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/06/16 11:03
パリ五輪をあと一歩のところで逃した加世田梨花。その目線は、すでに未来を見据えていた
本人もこう話すように、覚悟を決めたときの強さは本物だ。
「よくMGC1本に絞ったらとは言われていたんですけど、世界陸上に挑戦すると決めた時点で、コンディションを言い訳にしないと覚悟を決めていたので。だからなおさら、MGCの4位は悔しかったです。間違いなく、これまでの人生で一番悔しい4位でしたし、ちゃんとそういう勝負所で勝ちきれる選手になりたいです」
健闘とは認めず、悔しさをあらわにする。そこが彼女の強さであり、今後の伸びしろなのだろう。
パリ五輪を逃した先に、加世田が見据える未来
パリオリンピックの夢が絶たれ、一時は落ち込んだと言うが、下を向いているヒマはない。来年には東京で世界陸上が開幕し、それが終わればまた4年に一度の大舞台ロサンゼルスオリンピックが待っている。
名古屋を走って以来、しばらくレースからは遠ざかったが、関西実業団陸上競技大会(5月31日~6月2日)で復帰を果たすと、5000mと10000mの両種目を制した。次の目標については「マラソンで東京の世界陸上を狙って行けたら」ときっぱり。勝負師の顔である。
そこに向けての抱負を訊くと、こう言って朗らかに笑った。
「なんか私、スイッチが入ったら、集中力と負けん気だけは人一倍強いので。メンタルが落ち込むことも多いんですけど、それを乗り越えて成長していけたらって思います」
今、25歳。あくまで自然体で、次の日本女子マラソン界を引っ張っていく。《インタビュー第1回、第2回も公開中です》
(撮影=杉山拓也)