核心にシュートを!BACK NUMBER
「引退後、家族でゆっくり過ごす予定ですか?」質問に岡崎慎司の妻が話した答えは…家庭にもピッチの仲間にも“岡ちゃん”が愛されるワケ
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTakuya Sugiyama
posted2024/06/03 17:02
マインツ時代の岡崎慎司。ドイツの地でゴールを量産するとともに、今も昔も現地の仲間に愛されていた
「『選手としてはたどり着けなかったところに、次のキャリアではたどり着きたい』という思いの方が強いです」
5月17日の現役最後の夜。20時45分に試合は始まったが、終わった後もすぐに休むことなどできなかった。一通りの取材を受け終わった後は、別れを惜しむファンたちに向けた簡単なトークショーと、サイン会を開いた。サインの際には求められる写真撮影にもすべて笑顔で応じていったので、24時半近くまで会は続いた。
妻に「家族でゆっくり過ごすんですか?」と聞くと
その様子をホールの片隅で静かに待つ岡崎の家族の姿があった。彼の妻に長年にわたりサポートしてきたことへのねぎらいの言葉を送るとともに、筆者はこう聞かずにはいられなかった。
「このあと、少しは家族でゆっくり過ごす予定はあるのですか?」
すると、こう返ってきた。少し手はかかるけれども愛しいわが子について話すときのテンションと、夫の想いを理解しているからこその落ち着きとが、同居しているトーンで。
「いや、そうでもないんです。本人にはもう、やりたいことがあるそうですから」
岡崎には強い絆で結ばれた、チームメイトのような家族がいる。だから、一心不乱に指導者の道に向かうことができるのだろうな。そう感じずにはいられなかった。
わずか2時間ほど前に現役生活が終わったばかりなのに……。
岡崎は休まず、また走り出す。
現役時代、ピッチの上で、何度も見せてきたように。