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《51戦連続不敗》欧州サッカー異常な大記録を「常勝でもないクラブ」が達成のナゼ…シャビ・アロンソ42歳とレバークーゼン革命の内実
text by
ミムラユウスケYusuke Mimura
photograph byTaisei Iwamoto
posted2024/05/27 11:10
無敗でのブンデスリーガ制覇を達成し、シャーレを掲げるシャビ・アロンソ監督。決して常勝ではないクラブがなぜこの偉業を成し遂げたのか
彼に与えられたのは「ロッカールームの保安官」という役割。彼は遅刻の罰金などの選定といったルールを制定した上で、以下3つをチームに植え付ける仕事を託された。
・規律
・成功への飢え
・プロ意識
ホフマンがもたらしたのは野心——タイトルへの飢えだった。
彼はドルトムントなどでプレーした経験はあるものの、リーグやDFBポカールのような主要タイトルは獲得していなかった。だから、開幕前から彼はこう話していた。
「サッカー選手として、僕はいつも目標を掲げてやっている。その最初にあるのがブンデスリーガのタイトルであり、2つ目はDFBポカール、そしてその先に来シーズンのCLがある。まずは少なくとも1つのタイトルを取りたい。それがこのチームに求められているものだ。
ベテランのジャカがもたらした「厳しさ」
リーグを見ても、ここ数年はバイエルン、ドルトムント、ライプツィヒが抜きん出ていたよね。レバークーゼンはその下のレベルにあった。ただ、欠けているのはほんの少しの違いだと思う。だから、タイトルを取りたいんだ」
同様に、昨夏にベテランとして30歳で加入したジャカ(スイス代表)。彼がもたらしたのは、「厳しさ」だった。
「監督から求められている役割が僕にはある。それは、自分の経験をもとにチームを引っ張っていくことだ」
加入時にそう語っていたジャカはシーズン前から、背中でも語ってきた。
例えばプレシーズン、各選手は代表活動や移籍が決まったタイミングを考慮されて、クラブから合流日を指定される。ジャカも例外ではなかった。しかし、彼はクラブから指定された日より4日も早く、チームに合流。チームメイトたちを驚かせた。
シーズンが始まってからも、その姿勢は変わらない。攻守のキーマンとなっているのはもちろん、走行ランキング、ボールタッチ数でもリーグ全体で1位に立っている。チームのために働き続けて、プロ意識とは何かを背中で見せてきた。
アロンソの感謝と《5つのカギ》
ロルフェスGMは言う。
「若い選手たちはやはり、プロ意識やチームへの貢献というところで足りない部分がある。だから、ベテラン選手は、プロ意識、野心、意志、コンディショニングなどの面でお手本になるのだ」
こうした成果はロルフェスGMだけ、アロンソ監督だけで決めたものではない。