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「NBA挑戦もパリ五輪も大事」バスケ富永啓生(23歳)が“選択”を迫られる2024年の夏「ドラフト指名がなければ…」天才シューターの青写真
text by
宮地陽子Yoko Miyaji
photograph byNebraska Athletics
posted2024/05/21 11:02
ネブラスカ大を卒業式に出席した富永啓生(23歳)。この夏はパリ五輪だけでなく、目標としてきたNBA入りを懸けたチャレンジが控えている
6月26~27日に行われるNBAドラフトで指名されることを期待する声もあるが、現時点では富永が指名される可能性は低い。そうなると、通常はNBAの登竜門と言われるサマーリーグやトレーニングキャンプに参加して自分を売り込むことになるのだが、そのサマーリーグが行われるのは7月中旬。7月下旬にはパリ五輪という大舞台も待ち構えており、スケジュール的に両方を選ぶことは難しい。そんななか、果たして彼はどちらを選ぶのだろうか。
さらに、いくつかのチームからトレーニングキャンプ参加のオファーがきた場合にどのチームを選ぶのか。もしNBAの開幕ロスターに入れなかった場合、NBA傘下のGリーグに行くのか、別の国のリーグに行くのか。様々な選択を迫られる夏なのだ。
そういった大きな選択を前に悩んだとき、富永はいったいどんなことを考え、誰に相談し、どんな基準で進路を選ぶのだろうか。これまで進路で迷ったときにはどうやって決めてきたのか。そのプロセスに興味があったのだ。
しかし、富永から返ってきた答えは、正直、肩透かしだった。何しろ、これまで進路で悩んだことがないというのだ。
「今まで難しい選択をしたっていうことがあまりない」と富永は言った。
昨夏にアーリーエントリーを撤回
現在23歳の富永は、傍から見ると、これまで何度も進路に悩みそうな状況を経験してきている。高校卒業と同時にアメリカ留学を選んだとき。テキサスの短大、レンジャーカレッジに進学したとき。NCAA D1のネブラスカ大に編入したとき。去年夏、NBAドラフトのアーリーエントリーを撤回してネブラスカ大に戻ったとき。
特に去年夏の状況は悩んでも不思議はない状況だったと思うのだが、富永は「結構スパッと決まった方だと思います」と言う。
迷ったり、悩んだりすることがないことについて、さらに突っ込んで聞くと、こんな答えが返ってきた。