「ナオには『まず新人王が最初の目標だな』と言われているので。僕が『世界チャンピオンを目指します』と言っても、現実的ではありませんから。真吾さんには『それを取るだけでもすごいぞ』と言われています。いまのところ、全日本新人王が僕の短期目標です」

©Takuya Sugiyama

ネリ戦前に「早く聖矢の試合を見たい」

　5月16日はライト級の東日本新人王トーナメント初戦。格好をつけたボクシングをするつもりはない。いつも身近にいるモンスターから認められたパンチ力の強さが武器。プロ2戦目も基本に忠実なスタイルを貫き、倒しにいくことを宣言する。じつはネリ戦の後、井上からメッセージをもらったという。

「ナオはルイス・ネリ戦の前から『早く終わらせて、楽な気持ちで聖矢の試合を見たい』と話していて、東京ドームの試合を終えたあとも『楽しみにしているよ』と言ってくれました。僕自身、楽しみなんです。先のことはあまり考えていませんが、自分はボクサーとしてどこまで行けるのかなって」

©Takuya Sugiyama

　取材を終えると、フロアの片隅に置かれた椅子からすっと腰を上げ、シャドーボクシングに取り掛かった。ゆっくりと動きを確認しながら、素早くステップを踏む。初夏の日差しが差し込む大橋ジムでたっぷり汗を流す30歳の顔は、充実感にあふれていた。

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