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「度会隆輝には使い続ける魅力がある」DeNA元GM高田繁(78)が語る“使い続けたくなる”選手とは?「結果が出なくなった時は…監督の覚悟だよ」
text by
村瀬秀信Hidenobu Murase
photograph by(L)Hidenobu Murase、(R)JIJI PRESS
posted2024/05/15 11:01
シーズン序盤を大いに盛り上げる活躍を見せたドラ1・度会だが、少しずつ失速気味に。それでも高田氏は「使い続ける魅力がある」という
強い球団に必要なのは「チーム内で競争を作れるか」
――開幕から度会と同じ左の外野手の関根大気や楠本泰史、いまは蝦名達夫選手がものすごいがんばってますね。
高田 チームをつくろうとするなら、いかにチーム内で競争を作れるかだよ。かつて巨人の川上哲治監督はキャッチャーの森祇晶さんに、次から次へとアマチュアナンバーワンのキャッチャーを獲ってきては安心を与えなかった。選手同士が競い合うようになれば、放っておいても選手は目の色を変えてがんばる。そうなりゃコーチ監督はラクなもんだよ。だけどそんな簡単に優秀なライバルになり得る新人を持ってこれるわけじゃない。
――力のある新人でなければ意味がないと。
高田 今年の新人選手は度会だけでなく、石上も井上もバッティングは面白いね。ただし、レギュラーを獲るのはバッティングだけじゃない。特に内野手は守備力が大事になってくるからレギュラーへの難易度は高いけど、あいにくウチが一番人材に困っているのがショートだ。そこに石上が結果を残したことで、多少守備に目を瞑っても起用された。
――これには林(琢真)や森(敬斗)たちも、ざわざわと騒ぎ出しますね。
高田 度会は外野だからまだ使いやすいけど、俺に言わせればまだまだ守備は不満だけどね。おっちょこちょいなところがあるというか、ちょっと守備に雑なところがあるわな。
――そりゃあ「打球のイメージと捕球位置で数cmの誤差があり引退を決断した」なんて伝説がある“塀際の魔術師”高田繁から見たらまだまだなのだとは思います。
高田 俺はそんな話、ひと言も言ってないんだけどね(笑)。あれを書いた人は筆が立つ人でね……そういうのが得意なんだよ。
――なるほど……男の人生なんて一寸先はどうなるかわかりませんね。
高田 度会は外野、石上は内野で、それぞれ最初から結果を出しよったからね。キャンプでの練習も内容はよかったし、実戦に入って紅白戦、練習試合でも結果を出してレギュラーを掴んだ。オープン戦でも前半と後半では投手のレベルがまるで違う。少しずつレベルが上がっていくなかで結果を積み重ねていったんだから、開幕のよーいドンから使っても、誰も文句はないよ。度会なんて開幕戦でいきなり同点スリーランを打つしね。